真弓 (生駒市)

真弓（まゆみ）

奈良県生駒市の東部に広がる真弓は、一丁目から四丁目までを有する閑静な住宅地です。郵便番号は630-0122が割り当てられています。生駒市内の北大和、上町、真弓南のほか、隣接する奈良市の松陽台とも境界を接しています。

この地域は、もともと起伏のある丘陵地帯でしたが、1970年代に近鉄不動産によって大規模な宅地開発が進められました。その際、奈良時代に活躍したとされる豪族、小野真弓長弓（おののまゆみたけゆみ）の名にちなんで「真弓住宅」と名付けられ、分譲が始まりました。その後、段階的な開発を経て現在の町域が形成されています。宅地として整備されたインフラは、後に生駒市へ移管されました。

開発が始まった当初、真弓は周囲を山林に囲まれ、上町へ通じる道路以外は主要な交通路に乏しい、比較的孤立した環境にありました。奈良市の登美ヶ丘地区に通じる道は存在したものの、柵によって通行できない状態でした。しかし、周辺地域の開発が進むにつれて、近隣への移動が可能になり、利便性が向上していきました。特に、近鉄奈良線学園前駅行きの奈良交通バスの運行が開始されてからは、交通の便が格段に良くなり、計画的に造られた美しい街並みや、学園前駅周辺が持つ高級住宅地のイメージとも相まって、当時のバブル経済期には地価が上昇した時期もありました。

真弓の道路は、住宅地と一体で計画的に整備されており、高い水準で管理されています。主要な道路には歩道が設けられ、沿道にはポプラ並木が植樹されており、秋には美しい紅葉を楽しむことができます。建築にあたっては建蔽率（敷地面積に対する建築面積の割合）が厳しく定められているほか、多くの宅地が道路面より一段高く造成されているため、住宅が整然と並び、統一感のある街並みが形成されます。また、真弓自治会の管轄区域内では、景観維持などを目的として集合住宅の建築が禁止されています。かつて、地域内にコンビニエンスストアの出店計画が持ち上がった際には、景観や治安への影響を懸念する住民による反対運動が起こりました。最終的には営業時間短縮などの条件付きで開店しましたが、現在では閉店しています。

交通アクセスについては、2006年3月に近鉄けいはんな線学研北生駒駅が開業し、真弓の住宅地から比較的近い場所に駅ができました。けいはんな線はOsaka Metro中央線と直通運転を行っているため、バスを利用せずとも大阪市内まで移動できるようになったことは大きな変化でした。ただし、けいはんな線は京都方面や奈良市の中心部へは通じていません。これらの方面へ向かう場合は、学園前駅と学研北生駒駅あるいは高山サイエンスタウンを結ぶバスを利用し、近鉄奈良線の学園前駅で乗り換える必要があります。けいはんな線が開業する直前までは、学園前駅へのバス路線が、真弓における唯一の公共交通機関でした。

地域の中央部を通る生駒市道5号線は、近隣のならやま大通りに直接接続しており、生駒市西部や奈良市方面へのアクセスを可能にしています。この市道が奈良市側のならやま大通りに接続する際には、交通量の増加を懸念する奈良市側住民の強い反対運動が発生し、わずか数十メートルを残して道路工事が一時中断するという事態も起きました。

現在の市道5号線がならやま大通りに接続する以前、真弓から最も近い鉄道駅は近鉄奈良線富雄駅であり、富雄駅行きのバスも運行されていました。しかし、富雄駅行きのバスは本数が少なく、さらに富雄駅には急行や快速急行が停車しないため、富雄駅を経由した移動は不便でした。そのため、市道5号線が開通するまでの間、多くの真弓住民は隣接する奈良市松陽台まで徒歩や自転車で移動し、松陽台二丁目のバス停留所から学園前行きのバスを利用していたといいます。この状況を報じた新聞記事に対し、奈良市側で新聞の不買運動が起こるなど、当時の複雑な地域事情を示すエピソードも残されています。

その後、1980年代になって現在の生駒市道5号線がならやま大通りに無事接続されました。これに伴い、松陽台二丁目が終点だったバス路線は真弓二丁目まで延長され、学園前駅と真弓を結ぶ幹線ルートとなりました。そして、けいはんな線が開業した2006年からは、このバス路線が学園前駅と学研北生駒駅・高山サイエンスタウンを結ぶ現在のルートになっています。

現在、地域内には奈良交通のバス停留所が真弓1丁目、真弓2丁目、真弓3丁目、真弓4丁目の四箇所に設けられています。これらの停留所には、大阪なんばから深夜に出発する深夜急行バスも停車し、終電後の帰宅手段も確保されています。かつては、奈良市との境界付近に「真弓東口」というバス停留所があり、富雄駅行きのバスの終点や操車場として利用されていましたが、富雄駅行きバスの路線短縮により廃止されました。ちなみに、富雄行きバスのみが運行されていた時期には、現在の真弓二丁目停留所は「真弓口」、真弓三丁目停留所は「真弓住宅」と呼ばれていました。

地価については、住宅地の最新データとして、2023年（令和5年）7月1日に公表された奈良県の地価調査によれば、真弓3丁目4番7の地点で1平方メートルあたり12万7000円となっています。

真弓の町域は、開発当初は生駒市上町の一部とされていましたが、後に正式な町名として「生駒市真弓」となりました。沿革としては、1979年（昭和54年）に上町から独立して真弓1丁目から4丁目が成立し、1989年（平成元年）には現在の北大和1丁目から5丁目が真弓から分離しています。

主な地域内の施設としては、生駒市立真弓小学校、真弓浄水場、花のまちづくりセンターふろーらむなどがあります。

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