真情あふるる軽薄さ

『真情あふるる軽薄さ』の概要

『真情あふるる軽薄さ』は、清水邦夫が手がけた舞台作品であり、蜷川幸雄の演出により1969年にアートシアター新宿文化で初めて上演されました。この作品は現代の社会状況に深く根ざした内容を持ち、当時の若者たちの反権力的な思いを代弁しています。また、2001年には「真情あふるる軽薄さ2001」として再演され、今も多くの人に愛され続けています。

背景

本作は、蜷川幸雄をはじめ、岡田英次、石橋蓮司、蟹江敬三、真山知子らが劇団青俳を脱退し、新しく旗上げした現代人劇場での初公演作品となりました。清水邦夫は普段は遅筆とされていたものの、本作はわずか2日間で一気に執筆されたと伝えられています。1960年代後半、学園紛争が少しずつ終息に向かう中、若者たちの政治的挫折感や権力に対する反発心が色濃く表れました。この状況下で本作は熱狂的に迎えられ、後には伝説的な舞台として語り継がれることとなりました。清水と蜷川のコンビによる作品が後に何度も上演されることになるのも、この影響が大きいとされています。

あらすじ

舞台には切符を買うために並んでいる人々の行列が描かれています。その中に現れたのは、毛糸編機のケースを背負った酔っぱらいの青年です。彼は行列の人々に挑発的な言葉を浴びせ、物語は小競り合いへと発展します。行列に並ぶ若い女性は彼の言動に興味を示し、共感を持つ姿を見せます。中年の男性も話しかけますが、青年は彼を無視して突っぱねます。

行列の人々との間で続く3人のやりとりの中、青年が毛糸編機のケースからマシンガンを取り出す場面が登場します。彼が撃ち始めると、行列の人々は次々に倒れ込んで死んだふりをします。やがて、倒れていた中年の男性が起き上がり、「整理員」と称される人々が現れ、青年は叩きのめされます。マシンガンで撃たれた女性が青年の上に重なるシーンが展開され、中年男は「行列を乱すな！乱す者は容赦なく叩き殺せ！」と叫び、緊迫した状況が一層強調されます。

キャスト

1969年版

• - 蟹江敬三
• - 真山知子
• - 岡田英次

2001年版

• - 鶴田真由
• - 髙橋洋
• - 古田新太

参考文献

• - 扇田昭彦著『日本の現代演劇』（岩波新書、1995年）

関連項目

• - 幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門
• - 雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた

この作品は、清水邦夫が描いた若者の心の奔流を巧みに捉えた名作として、今もなお多くの観客に深い感動を与え続けています。

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