真犯人 (翔田寛の小説)

小説『真犯人』について

『真犯人』は、日本の作家翔田寛による小説で、日下警部補シリーズの第一作となります。この作品は、2012年から2013年にかけて、小学館の『STORY BOX』で「誘拐時効」のタイトルで連載されました。2015年には単行本として刊行され、2018年に文庫版が発売されました。また、第19回大藪春彦賞の候補にも選ばれた作品です。

物語の背景

物語は、41年前に発生した未解決の誘拐殺人事件を中心に展開します。警察は、この事件に二度の捜査失敗を経験しており、威信をかけて再度捜査に乗り出すことになります。それと同時に、静岡県で発生した殺人事件と絡めながら、失われた真実に迫っていく様子が描かれています。

あらすじ

物語は、平成27年（2015年）から始まります。この年、静岡県の東名高速道路脇で、須藤勲の遺体が発見されます。日下悟警部補は、須藤が41年前の誘拐事件で息子を失ったことを知り、両者の事件には関連があると考えます。そこで、日下は誘拐事件の時効が迫る中、特殊捜査班の管理官として、再び事件を掘り起こす決意をします。

昭和49年（1974年）、主人公の一人である尾畑守の5歳時、彼が誘拐されてしまう事件が発生します。身代金を受け渡す際、犯人が現れず、捜査は難航。23日後に多摩川で無惨な姿で発見されるという衝撃の展開が待っています。

その14年後、時効が迫った昭和63年（1988年）、重藤成一郎は捜査班を組織し、再捜査を命じられます。捜査は一見順調に思えましたが、捜査官たちがそれぞれ異なる説を立て、真実に迫ろうとする中、突然の悲劇が訪れます。

登場人物

この小説には、さまざまなキャラクターが登場します。平成27年時点での警察関係者として、日下悟、柳栄次郎、木曽紀夫が主要キャラクターです。また、誘拐事件の被害者である尾畑守や、その家族も重要な役割を果たします。さらに、昭和63年の警察関係者として、重藤成一郎や榛泰秀が登場し、事件の進行に深く関与します。

書籍情報

『真犯人』の単行本は2015年10月に小学館から発売され、文庫版は2018年に出版されました。原作を基にしたテレビドラマも2019年にWOWOWで放送されたことにより、物語はさらに多くの人々に知られることとなりました。

まとめ

『真犯人』は、作者が描く緻密な構成と緊迫感あふれる捜査の過程が印象的な作品です。未解決事件の背景には、家族の悲劇や警察の苦悩があり、それらが交錯する中で作品は進行します。読者は、登場人物たちと共に真実を追い求めるスリリングな体験ができるでしょう。この作品を通じて、事件の真相を求め続ける人々の姿に心を動かされることは間違いありません。

もう一度検索