真珠腫性中耳炎

真珠腫性中耳炎（cholesteatoma）

真珠腫性中耳炎とは、中耳炎が再発することにより、耳周りの上皮組織が異常に増殖し、球状の塊となって周囲の骨を侵食してしまう病気です。この増殖した上皮組織は真珠のように見えることから「真珠腫」と名付けられています。ただし、これは腫瘍の一種ではありません。具体的には、通常存在しないはずの鼓室内に何らかの理由で上皮細胞が侵入し、増殖してしまったものです。

真珠腫性中耳炎には、先天性と後天性の2種類があります。先天性の場合は、表皮芽が鼓室内に侵入し増殖するもので、鼓膜とは直接の関わりがありません。一方、後天性の真珠腫は、鼓膜の上皮が鼓室内に侵入することから始まります。この場合、鼓室内の減圧状態や鼓膜に開いた穴が原因となって生じることが多く、いずれも鼓膜と真珠腫は相互につながっていることが観察されます。

症状

真珠腫性中耳炎の症状として最も目立つのは、血や膿が混ざった耳漏（耳ダレ）です。血性の耳漏は「血性耳漏」と呼ばれ、膿性の耳漏は「膿性耳漏」と呼ばれます。病気が進行し真珠腫が拡大すると、周囲の組織が圧迫・破壊され、難聴やめまい、さらには顔面神経麻痺という深刻な症状が引き起こされることもあります。

検査方法

真珠腫性中耳炎の診断には、頭部のX線検査が行われます。この検査によって、真珠腫が周囲の骨を溶かす性質が強いことから、骨破壊が顕著に見つかることが多いです。X線画像を通じて、真珠腫の進行状況を把握し、治療方針を立てるための重要な情報が得られます。

治療法

真珠腫性中耳炎の根治法は、主に手術療法に限られています。手術では、まず真珠腫を摘出し、その後に破壊された耳小骨を修復するための鼓室形成術が行われます。手術の種類によっては、脳神経外科医による共同手術が必要となることもあります。手術後は、定期的なフォローアップが重要とされ、再発を防ぐための監視が続けられます。

著名な罹患者

真珠腫性中耳炎は一般の人々にも見られる病気であり、著名人にも多くの罹患者がいます。例えば、ものまねタレントのコロッケさんは中学2年の時に真珠腫性中耳炎が原因で右耳の聴力を大きく失いました。また、西川かの子さんは3年間で両耳を3回手術し、見事に回復を果たしています。なお、2024年3月にはお笑いコンビ「ダイアン」の津田篤宏さんが治療のため入院・手術を行うことが発表されています。これらの事例は、真珠腫性中耳炎が多くの人々に影響を与える病であることを示しています。

関連項目

真珠腫性中耳炎は、耳鼻咽喉科学における重要な疾病の一つです。正しい知識を持ち、早期に対応し、適切な治療を受けることが、改善の鍵となります。

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