真理党

真理党とその活動

真理党（しんりとう）は、1990年に行われた第39回衆議院議員総選挙でオウム真理教の教祖、麻原彰晃（本名：松本智津夫）を党首として結成された宗教政党です。この党は1989年8月16日に東京都選挙管理委員会に政治団体の設立を届け出ており、設立から間もなく、党首を含む25名の候補者が立候補しましたが、全員が落選しました。さらに、彼らは供託金没収点未満の得票しか得られなかったため、供託金が全て没収されました。

出馬に至る経緯

党の設立にあたり、オウム真理教の幹部たちは出馬の是非を決定するために多数決を採った結果、賛成派が優勢となりました。その後、1989年8月27日に久我山会館で開催された「アストラル・ワールド・コンサート」では、麻原による楽曲「麻原彰晃マーチ」が発表され、様々なキャラクターやパフォーマンスが披露されました。その中には、青い象を模した「ガネーシャ帽子」や黄色い象の着ぐるみなどが含まれ、教団の存在感が強調されました。

同年11月には、オウムを批判していた坂本堤弁護士一家の殺害事件も発生しました。これは当初失踪事件として扱われていましたが、後に教団の関与が疑われることとなります。このような背景を持つ中、1990年に麻原とその信者たちは衆院選に立候補することになりました。

選挙公約

真理党は以下のような公約を掲げました:
1. 消費税廃止 - 行政改革により11兆円の財源を確保し、消費税は不要と主張しました。
2. 医療改革 - 患者本位の医療を実践し、新たな医学の創造を提唱しました。
3. 教育改革 - 明るい学校と知能教育を推進し、子供たちの健やかな成長を支援しました。
4. 福祉推進 - 安心で充実した社会を実現することを目指しました。
5. 国民投票制度の導入 - 政治への不満を解消するため、国民の声を反映させる仕組みを提案しました。

選挙活動

麻原の選挙活動は非常に目立ったものであり、選挙用のビラやパンフレット、麻原を模したマスクを身に着けた信者たちによるパフォーマンスが行われました。さらには、他党候補者の妨害行為が賛美されるなど、首都圏におけるその活動は独特でした。公職選挙法に触れるほどの長時間の街頭宣伝も行われ、法律違反のリスクを費やしてまで信者たちは活動を続けました。

ただし、他の選挙区から立候補した候補者たちは、真理党の特異な運動スタイルに反して、より控えめな選挙活動に徹していました。正規の選挙活動の一環として、政見放送や公設の掲示板に掲示された選挙ポスターは普及しましたが、実際には多くのポスターが教団に関する装飾で彩られていました。

選挙結果

選挙結果は、真理党にとって厳しいものでした。麻原は自らの当選を強く信じていましたが、実際には東京都第4区で彼の得票は1,783票、13位という結果に終わりました。残る候補者たちも獲得票数は非常に少なく、それに伴い供託金が没収される事態を迎えました。この結果は教団にとって大きな挫折を意味し、麻原は教団内での地位を一時的に辞めることになりました。

麻原は次第に国家権力による陰謀を主張するようになり、選挙不正の疑念を募らせていきました。さらに、選挙後の行動として無差別テロを計画し、教団がますます凶悪化していく要因となっていくのです。

結論

真理党の活動は、オウム真理教の組織や思想が政治の舞台にも持ち込まれたことを示しています。この選挙は教団にとって不成功に終わりましたが、その後の教団の動向に多大な影響を与えることになりました。

もう一度検索