真田信吉

真田信吉：数奇な運命を辿った沼田藩主

真田信吉（さなだ のぶよし）は、戦国時代から江戸時代初期にかけて生きた武将であり、上野国沼田藩の二代藩主です。父は真田信之（信之）、母は清音院殿（真田信綱の娘）という血筋を受け継いでいます。

生涯

信吉の生年については、複数の説が存在します。『沼田日記』では文禄4年（1595年）、『滋野世紀』では慶長元年（1596年）生まれとされています。また、『天桂院殿御事績稿』に記された享年42歳から逆算すると、文禄2年（1593年）生まれとなります。

慶長19年（1614年）からの大坂の陣に参戦しますが、豊臣軍に敗れて逃走したという記録が残っています。元和元年（1615年）には従五位下河内守に叙任。翌年、父・信之が上田へ移ると、信吉は沼田城主として3万石の所領を相続しました。ただし、当時の沼田3万石は独立した藩ではなく、本家である松代藩の分領という扱いでした。また、真田家は沼田において、家臣が直接自分の領地である村を支配する地方知行制を採用していました。

寛永4年（1627年）8月、酒井忠世の娘（松仙院）と婚姻。松仙院との間には長姫という娘が一人しか生まれず、側室との間に熊之助と信利（信直）という二人の息子を儲けています。しかし、信吉は側室腹の男子の存在を、父・信之にも隠していたと伝えられています。

寛永11年（1634年）11月28日、父に先立ち、江戸の屋敷で40歳という若さで死去。遺体は迦葉山龍華院で荼毘に付され、天桂寺に葬られました。跡を継いだ長男の熊之助も早世したため、信吉の所領は次男の信利（信直）と弟の信政に分割相続されることとなりました。

系譜

父：真田信之（1566-1658）
母：清音院殿（?-1619） - 真田信綱の娘
正室：松仙院 - 酒井忠世の娘
子女：
長女：長姫 - 関長政正室、後に公卿の千種有能（千種家譜では有能の長男千種有維の室）室
側室：慶寿院 - 依田氏
次男：真田信利（信直）（1635-1688）
生母不明
長男：真田熊之助（1632-1638）

真田信吉が登場する作品

テレビドラマ
真田太平記（NHK新大型時代劇、1985年 演：伊達修→早瀬亮）
真田丸（NHK大河ドラマ、2016年 演：広田亮平）

真田信吉は、父・信之の偉大さ故に、その影に隠れてしまいがちな人物ですが、彼もまた、激動の時代を懸命に生きた武将の一人でした。若くして亡くなったこと、後継者問題など、その生涯は決して平坦ではありませんでしたが、真田家の歴史において重要な役割を果たした人物として、記憶されるべきでしょう。

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