真田太平記

『真田太平記』は、池波正太郎が1974年から1982年にかけて『週刊朝日』に連載した長編歴史小説です。池波の「真田もの」の集大成とも言われ、戦国時代の真田家の人々や、彼らに仕える忍者たちの活躍を、史実を基にしながらも大胆な創作を加えて描いています。

物語は、甲州・信州の武田氏の家臣であった真田昌幸が、武田家滅亡後、信州の小大名として独立するところから始まります。織田信長の死後、群雄割拠の時代を、昌幸は息子である信幸、信繁（幸村）と共に、真田忍びの卓越した情報収集と謀略を駆使して生き抜いていきます。豊臣秀吉の死後、関ヶ原の戦い、大坂冬の陣・夏の陣では、親子兄弟が敵味方に分かれて戦いますが、最終的には江戸幕府の治世下で真田家は存続に成功します。しかし、真田家と真田忍びを警戒する幕府と甲賀衆は、真田家取り潰しを企て、唯一の生き残りとなった信之が真田家の存続のために奔走します。

この小説の特筆すべき点は、池波の他の長期作品の多くが未完に終わっている中、本作が完結している点です。また、池波の死後、資料収集に協力した上田市の古書店店主らが発起人となり、1998年には上田市内に池波正太郎真田太平記館が開館しました。この施設では、掲載誌や直筆原稿などが展示され、小説に登場する人物による上田合戦解説の映画などが上映されています。

書籍としては、朝日新聞社から単行本が全16巻（新装版は全18巻）で刊行されたほか、新潮文庫版は全12巻、講談社『完本 池波正太郎大成』版では全3巻で刊行されています。各版で収録内容や巻数が異なっています。

また、1985年にはNHK新大型時代劇としてテレビドラマ化され、渡瀬恒彦が真田信之を演じました。さらに、2015年からはコミック版も週刊朝日増刊号で連載され、単行本も発刊されています。

関連作品として、池波正太郎の他の「真田もの」作品には、『信濃大名記』、『碁盤の首』、『獅子』、『錯乱』、『角兵衛狂乱図』、『真田騒動』、『やぶれ弥五兵衛』、『命の城』、『この父その子』、『まぼろしの城』、『奸臣』、『幻影の城』、『男の城』などがあります。これらの作品は、『真田太平記』の世界観をさらに深く掘り下げています。

『真田太平記』は、戦国時代の武将たちの生き様を描く歴史小説としてだけでなく、人間ドラマとしても読み応えのある作品です。真田一族の知恵と勇気、そして家族の絆が織りなす物語は、多くの読者を魅了し続けています。

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