渡瀬恒彦

渡瀬 恒彦（わたせ つねひこ）

渡瀬恒彦は1944年7月28日生まれの日本の俳優、歌手、タレントで、2017年に惜しまれつつ亡くなりました。彼は島根県能義郡安来町で生まれ、兵庫県淡路島で育ちました。身長174cm、血液型AB型で、本名でもある「渡瀬恒彦」として広く知られています。彼の兄は俳優の渡哲也で、長男はTBSのディレクター渡瀬暁彦です。渡瀬は東映マネージメントに所属し、様々な役柄で活躍しました。

幼少期と学業

渡瀬は幼少期からガキ大将であり、周囲に慕われる存在でした。彼が通った学校の同級生は、彼の強気な性格をよく覚えています。島根から兵庫に引っ越した後は、三田学園中学校と高等学校を卒業しました。中学の柔道では黒帯を取得し、高校時代は水泳部に所属していました。

また、高校時代から学業に対しても意欲的で、国語の成績は常に上位でした。彼が大学進学を決める際、早稲田大学第一法学部に入学しましたが、学生生活は学生運動が盛んであり、単位取得が困難でした。そのため、彼の将来については悩み続けました。最終的には、兄の渡哲也の勧めで電通に就職することになりましたが、わずか1ヶ月で辞め、別の広告代理店に移りました。

俳優デビューまで

渡瀬は当初、俳優になる意思は薄かったものの、運命的な出会いが彼を芸能界へ導きました。彼の俳優デビューは1970年、石井輝男監督の映画『殺し屋人別帳』であり、ここで彼は主役を演じました。デビューに際しては大学時代の経験を活かして、得意の空手を披露するなど、マスコミの注目を集めました。

俳優業に乗り出した初期には、演技の勉強をすることもなく、特訓を受けることなく、次々と仕事が舞い込んできました。しかし、自分の演技の下手さに悩み、プロの世界にいることに不安を感じていました。そんな中でも、彼は持ち前の身体能力を活かして、アクション映画での活躍が期待されるようになり、次第に多くの映画に出演することになりました。

デビュー後の成功

渡瀬は『現代やくざ 血桜三兄弟』や『実録 私設銀座警察』などでアウトロー役を演じ、人々に強い印象を残しました。また、1976年の『狂った野獣』では、スタントなしで命がけの演技を行い、ギャラ無しでの出演を自ら申し出るなど、映画への愛情を強く示しました。彼のスタイルは非常に真剣かつ緊張感があり、映画界でも広く認知されるようになりました。

映画とテレビでの活躍

1978年には、松竹映画『事件』で助演男優賞を受賞し、これが彼のキャリアの転機となりました。その後も多くのテレビドラマや映画で活躍を続け、特に『おしん』や『南極物語』などでの印象的な演技が評価されました。

渡瀬は『十津川警部シリーズ』や『タクシードライバーの推理日誌』など、数多くのシリーズ作品に主演し、多くの視聴者に愛されながらキャリアを築きました。また、彼はプロデューサーとしても関わるようになり、自作品の完成度向上に寄与しました。

晩年と闘病

渡瀬は2015年に胆嚢に癌が見つかり、闘病生活を余儀なくされましたが、その中でも自らの仕事を貫きました。最後まで俳優として現場に出続け、2017年には遺作となる『そして誰もいなくなった』にも出演しました。撮影時は体調が優れない中でも役を全うしたといいます。

没後の追悼

2017年3月14日、渡瀬は72歳でこの世を去りました。彼の死去は、同業者やファンに大きな衝撃を与えました。生前の彼は多くの人に影響を与え、愛された存在でした。家族葬が営まれた後には、様々な追悼特番や再放送が行われ、彼の才能や人柄が再評価されることとなりました。

彼の作品は、今なお多くの人々の記憶に残っており、彼の生き様や演技には色あせることのない魅力があります。

もう一度検索