真空部品

真空部品とは

真空部品とは、真空装置を構成する上で、真空中あるいは一部が真空に接する状態で機能する部品の総称です。これらの部品は、他の分野でも同様の機能を持つものが存在しますが、真空環境という特殊な条件に対応するために、専用に設計・製造されています。ただし、真空ポンプや真空計は、それぞれ独立した分類となるため、真空部品には含まれません。

真空部品の特性

真空部品は、真空中で使用されるため、通常の部品と比較して、使用される材料、表面の状態、清浄さにおいて、より厳格な管理が必要です。

構成材料

真空部品が使用される環境は、真空環境だけでなく、半導体プロセスのような大気以外のガス雰囲気である場合も多いです。そのため、材料の選定においては、通常の機械的特性（強度や硬度など）だけでなく、真空中で材料から放出される気体成分（放出ガス）の少なさや、半導体プロセスで使用されるガスに対する耐性が重要な指標となります。特に放出ガスが少ない材料は、真空用材料として区別されます。

表面の状態

表面の状態もまた、真空部品の性能に大きな影響を与えます。表面処理の方法によって放出ガス量が異なるため、適切な処理が不可欠です。特に、超高真空のような非常に低い圧力を達成する場合には、材料だけでなく表面の粗さもガスの吸着量に影響を与えるため、より注意が必要です。

清浄さ

真空中で使用される部品には、製造過程や組み立て段階で付着する有機物（主に油分）、埃、大気中の水分などを徹底的に除去する必要があります。そのため、様々な洗浄処理が施され、保管方法にも十分な注意が必要です。近年では、半導体製造装置への利用が一般化しているため、放出ガスだけでなく、半導体プロセスで問題となる特定の元素や微小なパーティクルについても厳格な管理が求められています。

真空部品の種類

日本真空工業会では、真空部品を以下の4種類に分類しています。

1. 真空バルブ
2. 電子銃、イオン銃、蒸発源、電源
3. 流量計
4. その他の部品 (継手、フィードスルー、可動用部品など)

真空バルブ

真空バルブは、真空と大気、圧力の異なる真空空間、あるいは組成の異なる真空空間を隔離するために使用されます。また、ガス流量や実効排気速度を制御するために、コンダクタンスを調整する役割も担います。使用される圧力領域、真空装置の構成、通過する物質（気体に限らない）などによって、様々な種類のバルブが使い分けられます。

電子銃、イオン銃、蒸発源、電源

これらの部品は、真空中で電子やイオンを放出させたり、原料を蒸発させたりすることで、特定の作用を生み出すために使用されます。用途に応じて、特殊な材料や構造が用いられることが多いです。

流量計

真空部品における流量計は、主に真空システムに導入するガス流量を管理するために使用されます。

その他の部品

上記の分類に含まれない真空システムに使用される部品です。主なものとして、以下のものが挙げられます。

稼動用部品
継手
液体窒素トラップ
真空フィードスルー

関連事項

真空
真空装置
真空用材料
真空フランジ

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