真野毅

真野 毅について

真野毅（まのつよし、1888年6月9日 - 1986年8月28日）は、日本の著名な弁護士及び最高裁判所判事です。彼は愛知県に生まれ、大学卒業後に弁護士として独立すると同時に、法曹界でのキャリアを築きました。特に彼は、戦前と戦後の2回にわたり第二東京弁護士会の会長を務め、戦後の司法制度改革にも大きく貢献しました。彼の人生は、法の下での平等を求める強い信念に支えられており、その姿勢は後の多くの判例にも影響を与えました。

学歴と職業経歴

真野は第一高等学校に入学した際に、校長の新渡戸稲造からアメリカの大統領リンカーンの話を聞き、弁護士という道を選ぶ決意をしました。1914年に東京帝国大学法科を卒業した後、高等文官試験に合格するも、自ら独立して弁護士として活動を始めました。彼は東京・京橋に事務所を設け、以後多くの重要な事件に関与しました。

彼は1947年に最高裁判所判事に就任し、在任中は数多くの意義深い判決を下しました。特に、大法廷判決では尊属に対する傷害致死の事件に対して、古い刑法規定の違憲性を指摘し、新憲法下における人権意識についての重要な議論を引き起こしました。彼の意見は、法の下での平等を尊重するための重要な一歩とされ、裁判官としての評価を高めるものでした。

法廷での姿勢

最高裁判所判事として、真野は常に積極的に意見を述べる姿勢を貫き、しばしば「硬骨のリベラリスト」と評されました。彼は、法的枠組みがもたらす不平等に対して疑問を持ち、憲法と法の精神に基づく平等を強く求めました。また、彼は自身の少数意見を通じて憲法を解釈し、他の裁判官との議論の中で自らの見解を明確に表明しました。特に尊属殺に関する考え方では、親子の道徳名の下に不平等な規定が作られることへの懸念を訴え、その結果として憲法の普遍的な平等原則への理解を求める姿勢を示しました。

論争と影響

特に彼の意見は、他の裁判官との対立を生むこともあり、真野と齋藤悠輔との間では激しい論争が展開されました。その中で真野は、民主主義の名の下での不平等への懸念を強調し、その主張は後の判決に影響を与えることとなりました。1973年には最高裁でも尊属殺の違憲判決が下され、彼の主張は評価されることとなります。

晩年と受章

1958年に定年退官した後も、真野は憲法調査会委員や国家公安委員などの役職を務め続け、その功績が評価されました。1964年には勲一等瑞宝章、1973年には勲一等旭日大綬章を受章しており、彼が日本の司法制度に寄与した功績は広く認められています。1986年に98歳で没するまで、彼の生涯は、日本の法曹界における重要な足跡を残しました。彼の活動は、今もなお現在の法制度に多大な影響を与え続けています。

著書

真野はまた、教育者としても活動し、いくつかの著書も残しています。代表作には『裁判と現代』や『漫談鶴と亀』などがあり、これらは法的思考や裁判の現状について知識を深めるための資料として重要な位置づけにあります。

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