真鍋博

真鍋博（まなべ ひろし）

プロフィール

真鍋博は、1932年7月3日に愛媛県で生まれ、2000年10月31日に生涯を閉じました。イラストレーター、アニメーター、エッセイストとして多才な才能を発揮し、日本SF作家クラブの会員でもありました。

生い立ちと教育

愛媛県新居浜市で育ち、愛媛県立新居浜西高等学校を経て、1954年に多摩美術大学油画科を卒業しました。その後、東京都の教員として港区立赤坂中学校に美術教師として勤務し、多摩美術大学大学院美術研究科も修了しています。

作風と活動

当初は油彩画を中心に活動していましたが、次第に抽象的で洗練された画風でSF小説の挿絵を多く手がけるようになりました。特に、星新一とのコンビは「名コンビ」と称され、『悪魔のいる天国』のように、版が変わるごとに新たなイラストを描き下ろすなど、密接な関係を築きました。星新一の小説の挿絵を集めた『真鍋博のプラネタリウム』も出版されています。また、アガサ・クリスティの小説や、桃源社版江戸川乱歩全集のカバーなども担当しました。

1960年には、モルデカイ・ロシュワルトの『レベル・セブン』のカバー・挿絵で講談社さしえ賞を受賞。初期の風刺作品は「漫画」と評され、1962年には文藝春秋漫画賞の候補にもなりました。未来画も得意とし、1960年代までの「ばら色の未来」をテーマにしたファンタジックな絵を数多く描いています。

その他の活動

イラストレーションの他、奇想天外な発明を絵にした『超発明』や『有人島』、文明批評のエッセイ集など、多彩な著作があります。また、個人アニメーション制作にも携わり、久里洋二・柳原良平と「アニメーション三人の会」を結成し、定期的に上映会を開催していました。

死後

真鍋博の作品の多くは、生前から郷里の愛媛県美術館に寄贈され、2001年7月には「真鍋博回顧展」が開催されました。

未来へのまなざし

晩年は健康に気を使い、21世紀をこの目で見たいと願っていました。自身の未来のイメージは、人と自然が共存する世界であると語っていました。

親族

弟は、平凡社で雑誌『太陽』の編集長を務めた真鍋喬です。長男の真鍋真は古生物学者で、国立科学博物館の分子生物多様性研究資料センター長を務めています。次男の真鍋由はテレビ朝日の報道部記者です。

主な著書

『食民地ニッポン 真鍋博漫画集』 昭森社, 1957
『寝台と十字架 : 真鍋博漫画集』 ユリイカ, 1958
『棗を喰った話』 関根弘,真鍋博 亜紀社, 1958
『動物園 第1』 ユリイカ, 1959
『愛媛の昔語り』 朝日出版, 1960
『星をたべた馬』 岩崎書店, 1965
『絵でみる20年後の日本』 日本生産性本部, 1966
『英単語記憶術』 岩田一男文、真鍋博絵 光文社, 1967
『英絵（えいえ）辞典』 岩田一男文、真鍋博絵 光文社, 1968
『鳥の眼』 毎日新聞社, 1968
『英熟語記憶術』 岩田一男文、真鍋博絵 光文社, 1969
『2001年の日本』 加藤秀俊,真鍋博 朝日新聞社, 1969
『首都圏・昭和60年』 日本生産性本部編、真鍋博画 日本生産性本部, 1969
『真鍋博のエキスポフアンタジー』 講談社, 昭和45
『海洋の設計』 加藤辿文、真鍋博画 日本生産性本部, 1970
『自動車じどうしゃ』 主婦と生活社, 1971
『超発明』 講談社, 1971
『ぼくの家庭革命』 文藝春秋, 1971
『真鍋博の複眼人間論』 実業之日本社, 1971
『ひとり旅教育』 文藝春秋, 1971
『有人島』 講談社, 1972
『未来行列車に乗って』 文化出版局, 1973
『自転車讃歌』 ぺりかん社, 1973
『たびたびの旅』 文藝春秋, 1974
『歩行文明』 PHP研究所, 1974
『道徳教育・この人と語る』 明治図書出版, 1975
『真鍋博Original 1975』 講談社, 1975
『真鍋博の植物園』 中央公論社, 1976
『真鍋博の昆虫記』 中央公論社, 1976
『思考の憶え描き』 早川書房, 1976
『わが社のマーク100選 その由来面白事典』 真鍋博編 ロングセラーズ, 1977
『生き方発見の旅』 文藝春秋, 1977
『21世紀ものがたり』 福島正実著 真鍋博絵 岩崎書店, 1977
『イラストからの発想』 PHP研究所, 1978
『アジア・オセアニアの旅』 文藝春秋, 1979
『真鍋博の線の画集』 平凡社, 1979
『マグロ・サワガニ・ヤマメ紀行』 冬樹社, 1981
『真鍋博の発想交差点』 実業之日本社, 1981
『真鍋博ティータイム七五話』 毎日新聞社, 1982
『真鍋博のプラネタリウム』 真鍋博絵,星新一編 新潮社, 1983
『真鍋博オリジナル'85』 講談社, 1984
『快適学への発想』 ぎょうせい, 1988
『遊々ウォーキング』 同文書院, 1989
『真鍋博の世界 イラストによる夢、希望、そして祈り』 池田20世紀美術館 1996
「真鍋博展」図録 朝日新聞社, 2004
『真鍋博の植物園と昆虫記』 筑摩書房 2020
『真鍋博の世界 : Hiroshi Manabe Works 1932-2000』 真鍋博 [画], 愛媛県美術館 監修 パイインターナショナル 2020
『真鍋博 本の本 = Hiroshi Manabe Book of Books』 五味俊晶 編著 パイインターナショナル 2022

評価

「没後20年　真鍋博2020」展が、2020年10月1日から11月29日まで愛媛県美術館で開催されました。

外部リンク

愛媛県立図書館・真鍋コレクション

真鍋博は、その独特な世界観と多岐にわたる活動で、多くの人々に影響を与えたクリエイターです。彼の作品は、未来への希望と人間への深い洞察に満ちており、今もなお、多くの人々を魅了し続けています。

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