着付け技能士

着付け技能士とは

着付け技能士（きつけぎのうし）は、国家資格に基づく技能検定の一環であり、着物の正しい着付け技術を認定する資格です。この資格は、日本における着物文化の普及と保存、さらには着物に関する専門知識と技術を持つ人材の育成を目的としています。資格認定は、社団法人全日本着付け技能センターが実施しており、学科試験及び実技試験に合格した者が取得します。

制度の背景

2009年10月15日に施行された職業能力開発促進法の改正により、「着付け」が技能検定の対象職種として認可されました。これにより、着物着付けに関する専門技術の質が向上し、着付け技能士制度が確立されました。2010年2月には、厚生労働大臣から社団法人全日本着付け技能センターが指定試験機関として認可されたことにより、この制度はさらに公信力を増しました。

資格取得を目指す人は実務経験があれば誰でも受験でき、一般的な技能を養成する内容となっています。しかし、芸術的な要素や特定の流派による伝統・文化などの高度なテクニックはこの試験では評価されません。

受検資格

着付け技能士資格の受検には段階があります。1級を目指すには、実務経験が5年以上求められますが、教育機関での修業時間に応じてこの期間が2年から4年に短縮される場合もあります。そして、2級は2年の実務経験が必要で、こちらも教育機関での修業によっては免除されることがあります。ただし、実技試験は同級あるいは上位級の学科試験に合格してから受験できるため、合格日から2年以内に実技試験を受ける必要があります。

試験内容

学科試験

試験は学科と実技に分かれています。学科試験では、次のような内容が出題されます。
1. 着物の知識及び名称
- 着物の歴史（服飾史）
- 各部の名称及び寸法
- 文様について
2. 男女の着物の仕様の違い
3. 着物のたたみ方
4. 繊維の知識（1級のみ）
5. 織物及び染物の知識
6. 着物の着用シーズン
7. 着物の格の違い（用途別、柄づけによるもの）
8. 帯の種類（織帯及び染帯）
9. 着付小物及び装身小物の種類及び用途
10. 着物等の合わせ方
11. 着付けに関する心得、作法及び技法
12. 関係法規
13. 美容師法関連の法令

実技試験

実技試験は各級で着付けが求められる着物が異なります。1級では、浴衣や街着、付下げ、訪問着、色留袖、黒留袖など多岐にわたる着物を定められた時間内で着付けができる能力が判定されます。2級では、浴衣、街着、付下げ、訪問着などが対象です。

取得後の称号

試験に合格した者には、1級には厚生労働大臣名の、2級には技能センター理事長名の合格証書が授与され、認定された級に応じた「着付け技能士」として称することが許可されます。違反として、資格を持たない者が「着付け技能士」と称することは禁止されています。

まとめ

着付け技能士の資格取得は、着物文化の継承と発展に寄与する重要なステップであり、受験者は専門知識と技術を習得し、職業能力の向上を目指しています。日本の伝統文化を支えるため、着付け技能士の役割は今後も重要であると言えるでしょう。

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