技能検定

技能検定とは

技能検定は、日本の労働者の技能を評価し、その能力を公的に証明するための国家検定制度です。この制度は、労働者の技能向上と地位の向上を目的として、職業能力開発促進法に基づき1959年から実施されています。技能検定に合格した者は「技能士」と称することができ、その技能が社会的に認められます。

技能検定の目的

技能検定は、労働者の技能レベルを全国的に統一された基準で評価することにより、労働者の技能育成を促進し、労働市場における公正な評価を可能にすることを目的としています。これにより、労働者は自身の技能を客観的に証明でき、企業はより適切な人材を採用・育成することができます。

技能検定の沿革

技能検定の歴史は古く、1947年の職業安定法に規定された職業補導所（現在の職業訓練施設）がそのルーツです。1954年には、職業補導修了生を対象に全国統一の技能検定が初めて実施されました。当初は「機械製図」や「木工」など10職種でしたが、その後、1958年の旧職業訓練法により国家検定制度として正式に規定され、1959年には5職種で第1回技能検定が実施されました。

1969年には新職業訓練法（現在の職業能力開発促進法）が制定され、試験問題作成等を行う中央技能検定協会（現在の中央職業能力開発協会）と試験実施を行う都道府県技能検定協会（現在の都道府県職業能力開発協会）が設立され、実施体制が確立されました。職種数は、1985年には142職種にまで増加し、現在では132職種となっています。

技能検定の等級

技能検定には、技能レベルに応じて等級が設けられています。等級は、職種によって区分されるものと、されないものがあります。

等級を区分するもの

特級：管理者や監督者が持つべき高度な技能レベル
1級：上級技能者が持つべき技能レベル
2級：中級技能者が持つべき技能レベル
3級：初級技能者が持つべき技能レベル

等級を区分しないもの

* 単一等級：上級技能者が持つべき技能レベル

また、外国人技能実習生向けの随時試験として、基礎級、随時3級、随時2級があります。

技能検定の実施体制と職種

技能検定は、各都道府県の職業能力開発協会と、厚生労働大臣が指定した民間の試験機関によって実施されています。現在、132の職種が設定されており、その多くはさらに細分化された作業・業務によって構成されています。

都道府県職業能力開発協会が実施する職種（111職種）

建設関係、金属加工関係、一般機械器具関係、電気・精密機械器具関係、食料品関係、衣服・繊維製品関係、木材・木製品・紙加工品関係、プラスチック製品関係、貴金属・装身具関係、印刷製本関係など、多岐にわたる分野の職種があります。

民間の指定試験機関が実施する職種（21職種）

ウェブデザイン、キャリアコンサルティング、ピアノ調律、ファイナンシャル・プランニング、眼鏡作製、知的財産管理、金融窓口サービス、ブライダルコーディネート、接客販売、着付け、ホテル・マネジメント、レストランサービス、フィットネスクラブ・マネジメント、ビル設備管理、林業、機械保全、情報配線施工、ガラス用フィルム施工、調理、ビルクリーニング、ハウスクリーニングなどがあります。

技能検定委員

技能検定委員は、試験問題の作成、採点、試験運営などを行う重要な役割を担います。検定職種ごとに選任され、都道府県職業能力開発協会が実施する職種では都道府県技能検定委員と中央技能検定委員が、民間の指定試験機関が実施する職種では指定試験機関技能検定委員がそれぞれ選任されます。

技能検定委員は、高い識見と専門的な技能・技術、または学識経験を持つ者の中から選ばれます。選任された委員は「みなし公務員」として扱われ、守秘義務や業務制限が課せられます。

技能検定の活用

技能検定は、労働者の技能向上を促進するだけでなく、企業における人材育成や評価にも役立ちます。技能検定の合格者は、自身の技能レベルを客観的に証明できるため、キャリアアップや転職において有利に働くことがあります。また、企業は技能検定の結果を参考に、従業員の能力を把握し、適切な教育訓練や人事配置を行うことができます。

まとめ

技能検定は、日本の労働者の技能を支える重要な制度です。技能検定制度は、労働者の技能向上と地位向上を促進し、産業全体の発展に貢献しています。技能検定は、個人のスキルアップやキャリア形成だけでなく、企業にとっても人材育成や評価の重要なツールとなっています。

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