瞬く星の下で

ポルノグラフィティ37thシングル「瞬く星の下で」解説

2013年3月6日、ポルノグラフィティは37作目のシングル「瞬く星の下で」をリリースしました。前作「カゲボウシ」から約6ヶ月ぶりとなる本作は、TVアニメ『マギ』のオープニングテーマとして書き下ろされた楽曲を含む、多様な魅力を詰め込んだシングルとなっています。

シングル概要

本作は、表題曲「瞬く星の下で」に加え、カップリングとして『マギ』主題歌候補曲「極上ランディング」、前作シングルのデッドストック「むかいあわせ」、そしてアニメサイズの「瞬く星の下で＜アニメVer.＞」の計4曲を収録。4トラック構成は28作ぶりとなり、シングルにタイアップバージョンが収録されるのも初めて、別バージョンが収録されるのも「今宵、月が見えずとも」以来となります。

リリース形態は、CDのみの通常盤、DVD付きの初回生産限定盤、そして『マギ』のオリジナルイラストを使用したデジパック仕様の期間生産限定アニメ盤の3種類。3形態でのリリースは「Winding Road」以来16作ぶりで、ジャケットデザインがそれぞれ異なるのも初めての試みです。

各楽曲解説

瞬く星の下で

MBS・TBS系列アニメ『マギ』のオープニングテーマとして書き下ろされた、アップテンポなロックサウンド。凛とした強さと緊張感が共存する楽曲は、アニメ制作サイドからの「アップテンポでスリリングな曲調」というリクエストに応える形で制作されました。作詞・作曲の新藤晴一は、アニメの放映時期や、ポルノグラフィティのファン以外にも届くことを意識し、メロディーや歌詞を練り上げました。

歌詞は、当初案とは大きく異なり、原作漫画を熟読し、世界観に寄り添う書き方で書き直されました。これは新藤にとって珍しいケースだったと言われています。サビに込められた「自分を信じること」へのメッセージは、新藤自身の想いが強く反映されており、『マギ』のテーマである「成長」とも深く共鳴しています。「瞬く星の下で」というタイトルには、運命的な瞬間に対して主体的に行動を起こすことの大切さが込められています。

アレンジは田中ユウスケと立崎優介が担当。新藤は田中ユウスケの音作りへの信頼感を、岡野昭仁は「2013年バージョンの提示」への期待感をそれぞれ語っています。結果として、アニメの冒険感や友情をイメージしたアレンジに仕上がりました。岡野の歌唱は、熱くなりすぎず一歩引いた、どこか冷たい部分を持つ表現で、メッセージの説得力を高めています。MVでは紙吹雪のシーンが一発撮りで撮影されるなど、細部へのこだわりが見られます。

極上ランディング

明るさと疾走感溢れるアッパーチューン。こちらは、『マギ』主題歌候補として岡野昭仁が制作。「スリリングでシリアスでハイテンポ」というリクエストに対し、あえてメジャーでカラッとした曲を提案するという発想から生まれました。

アレンジは江口亮が担当。ライヴでの再現性を意識したアレンジは、ポルノグラフィティのライヴを盛り上げることを目的としています。複雑なリズムやトリッキーなアレンジは、岡野の歌詞と化学反応を起こし、独特な楽曲に仕上がっています。歌詞のテーマは、混沌とした現代社会において、どう着地すべきか。岡野自身の経験や考え方が反映されています。

むかいあわせ

アコースティックな世界観を持つスローテンポバラード。前作「カゲボウシ」と同時期に制作されたデッドストックで、『つるかめ助産院〜南の島から〜』主題歌候補曲でした。「カゲボウシ」に通じる世界観やフレーズを持つ楽曲です。

歌詞は、自分自身と向き合い、問い掛けることをテーマにしています。心象風景を基に、「気付いていない自分」に焦点を当て、自分と向き合うことの大切さを伝えています。アレンジはtasukuが担当し、重厚で繊細なアレンジにより、叙情的な「和」の雰囲気を生み出しています。岡野は、アコースティックギターを演奏し、新藤がエレキギターで対になる形で演奏しています。

瞬く星の下で＜アニメVer.＞

アニメのオープニング用に編集、歌詞の一部もアレンジされたアニメサイズバージョンです。フルサイズバージョンと同様に、ポルノグラフィティの楽曲に初めて触れるリスナーにも届くよう、ストレートな表現が意識されています。

まとめ

「瞬く星の下で」は、アニメタイアップという枠を超え、ポルノグラフィティの多様な表現力と音楽性を示したシングルです。楽曲それぞれに込められたメッセージや、制作陣のこだわりは、リスナーに深い感動と共感を呼び起こすでしょう。デビュー15周年へ向けた第一歩として、大きなインパクトを残した作品と言えるでしょう。

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