瞳を閉じて

瞳を閉じて

「瞳を閉じて」は、シンガーソングライター荒井由実（現・松任谷由実）によって作詞・作曲された楽曲です。1974年にリリースされたアルバム『MISSLIM』に収録されるとともに、シングル「12月の雨」のB面としても発表されました。

楽曲誕生の背景

この曲が生まれたきっかけは、長崎県立五島高等学校奈留分校（現・長崎県立奈留高等学校）の女子生徒によるラジオ番組への投書でした。当時、奈留分校では五島高校の校歌が使用されていましたが、奈留島の生徒たちにとって歌詞の内容が馴染みにくいものでした。そこで、ラジオ番組『毛利久のオールナイトニッポン』のコーナー「あなただけのイメージソングを作ります」に、奈留分校に合った校歌の制作を依頼したのです。

当初、加藤和彦が作曲した曲が番組で放送されましたが、依頼者に届けられるはずだった録音テープが行方不明になってしまいました。そのため、改めて荒井由実が作詞・作曲を手がけ、「瞳を閉じて」が贈られることになったのです。

奈留高等学校の愛唱歌として

1976年、奈留分校は長崎県立奈留高等学校として独立しました。その際、「瞳を閉じて」を校歌とするかどうかが検討されましたが、最終的には校歌ではなく愛唱歌として制定されることになりました。このエピソードは、NHKのドキュメンタリー番組『新日本紀行〜歌が生まれて そして〜』でも紹介されています。

1988年には、同校の卒業生からの寄付により、松任谷由実直筆の歌詞が刻まれた歌碑が建立されました。除幕式には松任谷由実本人も出席し、その模様は多くのメディアで報道されました。その後、「瞳を閉じて」は卒業式などの学校行事だけでなく、島民が島を離れる際の船の出港時にも流されるようになり、島全体の愛唱歌として定着していきました。

1996年から1998年にかけては、教育出版の高校音楽の教科書にも掲載され、幅広い世代に親しまれる楽曲となりました。

2015年には、長崎県立奈留高等学校の創立50周年記念式典に松任谷由実が招かれ、生徒たちとともに「瞳を閉じて」を合唱しました。

メディアでの使用

「瞳を閉じて」は、様々なメディアでも使用されています。

1976年にはNHKの『みんなのうた』で放送されました。善村ゆう子が歌い、長崎の風景が映像として使用されました。その後も再放送されています。
2000年公開の映画『スイート・スイート・ゴースト』の主題歌として使用されました。
2005年から2008年まで、NHKのドキュメンタリー番組『NHKアーカイブス』のテーマ曲として使用されました。
2005年には、日本テレビ系テレビドラマ『Xmasなんて大嫌い』の挿入歌としても使用されました。
2023年10月からは、フジテレビ / BSフジ「街角パレット～未来へのたからもの～」テーマソングとして使用されています。
大塚製薬のポカリスエットのCMソングとしても使用され、鈴木梨央がカバーしました。

その他、日本テレビ系『笑点』の大喜利コーナーで、賞品のキーワードとして使用されたこともあります。

「瞳を閉じて」は、楽曲そのものの美しさはもちろんのこと、奈留高等学校との深い関わりや、様々なメディアでの使用を通じて、多くの人々の心に響く楽曲として愛され続けています。

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