矢尾板貞雄

矢尾板貞雄の生涯と業績

矢尾板 貞雄（やおいた さだお、1935年11月28日 - 2022年9月13日）は、日本のプロボクシング界で名を馳せた選手であり、引退後はボクシング解説者としても広く知られています。東京府東京市渋谷区に生まれた彼は、OBF東洋フライ級および日本フライ級の王者となり、右ボクサータイプの選手として知られました。また、後に競馬評論家としても活躍しました。現役時代はその華麗なフットワークが武器となり、多くのファンを魅了しました。

来歴

矢尾板は1955年9月28日にプロデビューを果たし、当初の対戦相手は後に日本王者となる野口恭でした。この試合は引き分けに終わりましたが、彼のボクシングキャリアの幕開けとなりました。その後、彼は着実にキャリアを積み重ね、1958年には日本フライ級王座を獲得。同年9月にはOBF東洋フライ級も手に入れました。

1959年1月、矢尾板は世界フライ級王者パスカル・ペレスとのノンタイトルマッチに挑み、判定勝ちを収めました。この試合では、相手の強打をフットワークで封じ込め、ペレスは試合後に「矢尾板はマラソンランナーになればいい」と言わしめるほどの戦いぶりでした。この勝利により、矢尾板は白井義男以来の期待される王者候補とされるようになりました。

しかし、同年11月に行われたタイトル戦では、好調なスタートを切り第2ラウンドでダウンを奪ったものの、最終的には第13ラウンドでノックアウト負けを喫し、王座奪取には至りませんでした。その後も彼は東洋王座を防衛しつつ、再挑戦の機会を待ちますが、ノンタイトル戦で内外の強豪と対戦する日々が続きました。

1961年には、当時のバンタム級世界王者エデル・ジョフレとの試合に挑み、惜しくも10回戦でKO負けを喫したものの、善戦を見せました。1962年には、東洋ジュニアフェザー級王者坂本春夫をKOし、メキシコのジョー・メデルとも戦ったものの、僅差の判定で敗北しました。矢尾板はフライ級での世界1位を維持していましたが、その年の6月には急遽引退を宣言します。

引退の理由は表向きには膝の故障とされましたが、実は所属ジムの会長との確執が影響していました。矢尾板は度々暴力や罵倒を受けており、彼にとって引退は避けられない選択でした。

引退後の活動

引退後はボクシング評論家としての道を歩み、フジテレビの『ダイヤモンドグローブ』にて専属解説者として活動しました。彼の解説は論理的で明快なもので、多くのファンから支持を受け続けました。また、競馬エイトでも競馬の予想を行うなど、多才な一面を見せました。

2022年9月13日、矢尾板は小脳出血により86歳でこの世を去りました。彼のボクシングに対する情熱と後の活動は、多くの人々に影響を与え続けることでしょう。彼の業績は日本のボクシング界において、一つの重要な歴史の一ページとして残ります。

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