矢本平之助

矢本平之助（やもと へいのすけ）

矢本平之助は、元治2年（1865年）に陸奥国桃生郡深谷大窪村（現在の宮城県東松島市大塩）で生まれ、昭和13年（1938年）に亡くなった日本の政治家です。衆議院議員を務めたほか、宮城県桃生郡大塩村の村長、宮城県会議員、桃生郡会議員を歴任しました。

生い立ちと青年期

矢本家は戦国時代の武将、矢本筑前景重の末裔とされ、代々村役人を務める豪農でした。平之助は、幼少期から漢籍や法政、経済を学び、その後の政治活動の基礎を築きました。

村長としての活躍

明治29年（1896年）、32歳で大塩村の初代村長に就任しました。その後、昭和10年まで計6回村長を務め、村の発展に尽力しました。また、桃生郡会議員、宮城県会議員としても活躍し、鳴瀬川などの改修を訴えました。大正12年（1923年）には県会議長に就任し、「豪腕議長」としてその手腕を発揮しました。

国政への進出と地域振興

昭和3年（1928年）には衆議院議員に当選し、東北地方の振興を提唱しました。また、大塩村青年団長として、大塩小学校の校地整備、水道や奉安殿の設置、青年会館（現在の大塩民俗資料館）の建設など、地域振興にも力を入れました。これらの事業には、多くの私財を投じたと言われています。

治水事業への貢献

矢本平之助は、江合川・鳴瀬川・吉田川の合流地点における治水事業や、北上川の改修に尽力しました。その功績から「治水王（治水翁）」と呼ばれ、地域住民から深く敬愛されました。

その死と顕彰

昭和13年（1938年）9月15日、矢本平之助は生涯を閉じ、村葬が営まれました。その功績を称え、昭和24年（1949年）には、大塩小学校の校地内に「矢本平之助翁頌徳碑」が建てられました。また、大塩地区にある自宅の門は「矢本家重層門」として現在も残されており、その歴史を今に伝えています。

矢本平之助は、地域社会への貢献と、治水事業への尽力により、後世に語り継がれる偉人です。

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