漢籍

漢籍:中国古典文献の世界



漢籍とは、中国で著された書籍、特に漢文で書かれた書物を指します。日においては、日で著された和書と対比される分類として用いられ、「漢書」と呼ばれることもあります。その定義は多様で、広義には漢文で書かれたあらゆる書物を含む一方、狭義には前近代中国で書かれた古典籍を指し、東アジア漢文古典籍や近代以降の学術書は含まれません。仏教関連の書物は仏典として区別されるのが一般的です。洋書と対比して、和書と漢籍を合わせて和漢書と呼ぶこともあります。

中国出版された漢籍は、日で復刻・翻刻されたものは「和刻」、朝鮮半島出版されたものは「韓(朝鮮・高麗)」、ベトナム出版されたものは「安南(越南)」と呼ばれます。特に中国出版されたものは「唐」と呼ばれることもあります。江戸時代には、多くの和刻が日で刊行されました。

伝統的には、袋とじにして糸で綴じた線装が主流でしたが、近代以降は洋装も増えました。漢籍に対応する中国語は「古籍」ですが、日語と同様に定義に諸説あります。近年では、中国以外の漢文古典籍を「域外漢籍」と呼ぶ研究も盛んになっています。

漢籍の分類



中国


中国では、伝統的な図書分類法である経・史・子・集の四部分類が用いられます。『四庫全書総目提要』はその代表的な例ですが、各機関では独自の分類も用いられています。漢訳仏典は子部・釈家類に分類されることもありますが、独立して仏典独自の分類がされることが多いです。



では、京都大学人文科学研究所や東京大学東洋文化研究所の漢籍目録が広く参照されています。これらの目録では、四部分類に叢書部を加えた五部分類が用いられ、近代の書籍は新学部に分類され、日十進分類法に従って整理されています。白話小説は伝統的な筆記小説と区別して集部に分類されるなど、工夫が凝らされています。

江戸時代には各藩が漢籍を収集し、明治時代には帝国図書館(現在の国立国会図書館)に受け継がれました。明治12年(1879年)以降、漢学者の岡千仞を筆頭に、漢籍の収集が積極的に行われ、国費による新刊の収集も進められました。現在の国立国会図書館が所蔵する漢籍の大部分は、明治時代に収集されたものです。

漢籍の種類



出版方法や装丁によって、漢籍は様々な種類に分類されます。

出版方法による分類


: 以前の中国で刊行された古典籍
和刻: 古鈔(古写[[本]])を日国内で復刻・翻刻したもの
安南: ベトナム出版された書籍
朝鮮: 李氏朝鮮時代までに朝鮮半島で刊行された漢文の書物
刊[[本]]: 木版印刷によるもの
(抄: 手書きによる写[[本]]
活字印: 古活字(泥活字、錫活字、木活字、銅活字、磁活字など)による印刷物
石印: リトグラフによる印刷物(末民初に流行)
排印: 近代活字による印刷物(鉛活字によるものを鉛印と呼ぶ)
景刊: 底を版木にかぶせ彫りして印刷したもの
景照: 底を写真撮影して製したもの
景印(影印): 底を写真撮影してオフセット版などで大量印刷したもの

装丁による分類


巻子: 巻物
帖装(折子: 折り
龍鱗装: 巻子と冊子の中間形態
冊子:
蝴蝶装(粘葉装): 紙を二つ折りにして重ね、糊付けしたもの
列帖装(綴葉装): 紙をまとめて二つ折りし、糸で綴じたもの(日独自)
包背装: 表紙で全体をくるんだもの
線装(袋綴: 和綴じ
明朝綴: 四つ目綴
朝鮮綴: 五つ目綴
* 康熙綴: 六つ目綴

漢籍研究は、書誌学文献学目録学といった関連分野と密接に関わっています。これらの研究を通して、漢籍という貴重な文化遺産を理解し、未来へと繋いでいくことが重要です。

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