矢田立郎

矢田立郎：神戸市政を12年間率いた政治家

矢田立郎氏は、1940年兵庫県神戸市生まれの政治家です。神戸市職員としてのキャリアを経て、2001年から2013年まで3期12年にわたり神戸市長を務めました。その間、数々の政策決定や問題解決に携わり、神戸市の発展に貢献した一方、幾多の困難にも直面しました。

神戸市職員から市長へ

矢田氏は、神戸市立高羽小学校、神戸市立鷹匠中学校、兵庫県立御影高等学校を卒業後、1959年に神戸市職員として採用されました。神戸市役所勤務と並行して関西大学法学部第二部法律学科に進学し、1971年に卒業。その後、神戸市港湾整備局空港整備本部長や保健福祉局長などの要職を歴任し、行政経験を積んでいきました。2000年には神戸市社会福祉協議会専務理事、翌年には神戸市助役に就任し、市政の中枢を担う立場へと昇進しました。

2001年、笹山幸俊前市長の後継として、神戸市長選挙に無所属で立候補。4人の候補者を抑え、初当選を果たしました。この選挙での投票率は38.14%でした。

2期目、3期目、そして市長退任

2005年の市長選では、自民党、民主党、公明党、社民党の推薦を受け、無所属で立候補。再び勝利し、2期目の当選を果たしました。投票率は30.23%でした。2007年には母校である関西大学の客員教授に就任し、教育活動にも携わるようになりました。2009年には指定都市市長会会長に就任（2010年3月まで）。同年10月に行われた市長選でも当選し、3選を果たしました。この選挙の投票率は31.51%でした。

2013年3月、矢田氏は同年秋に予定されていた次期市長選への不出馬を表明し、同年11月に退任しました。

市政における課題と住民訴訟

矢田市長在任中には、いくつかの住民訴訟が提起されました。特に大きなものは、神戸市職員を派遣している外郭団体への補助金支出に関する訴訟です。住民団体は、人件費に充てるための補助金支出に違法性があると主張し、矢田氏と外郭団体に対し、補助金の返還を求める訴訟を起こしました。

一審の神戸地裁は、補助金支出の違法性を認め、矢田氏と外郭団体に約48億円の返還を命じました。しかし、二審の大阪高裁は、市の改正条例を違法として、約55億円の返還を命じる判決を下しました。最終的に最高裁は、矢田氏には過失がないと判断し、市の勝訴判決が確定しました。

また、神戸空港の建設をめぐっても、矢田氏らに対し、1000億円を超える損害賠償を求める住民訴訟が複数提起されましたが、いずれも請求は棄却されています。

受賞とその後

2017年、矢田氏は春の叙勲で旭日重光章を受章しました。これは、長年の功績が認められた証です。現在も神戸市名誉市民として、神戸市に貢献しています。

矢田立郎氏の市長在任期間は、神戸市にとって大きな転換期でした。数々の政策決定や住民訴訟、そして神戸空港建設という大きな事業など、様々な出来事がありました。これらの経験は、神戸市の発展に大きく影響を与えたと言えるでしょう。

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