知名定男

知名定男：沖縄民謡の巨星

知名定男（ちな さだお）は、主に沖縄で活動する著名な民謡歌手であり、ソングライター、音楽プロデューサーとしても知られています。1945年4月21日に福岡県北九州市で生まれ、大阪で育ちました。彼の父は沖縄民謡の大家である知名定繁であり、幼少期から音楽の影響を受けて育ちました。

幼少期とデビュー

定男は、父や沖縄の民謡界では「島唄の父」と称される普久原朝喜の影響を受けながら、沖縄芝居の子役としても活躍しました。彼が歌劇「でぃぐぬ花」で6歳で初めてのレコード録音を行ったことが、彼の音楽人生のスタートを切った瞬間となります。1956年には沖縄に密航し、地元の素人大会で2位となり、登川誠仁に見出され、内弟子として音楽活動を開始しました。この時、初の楽曲「惣慶漢那」でのデビューにより、彼の才能が注目を集めました。

音楽活動の展開

1971年、自ら作詞・作曲した「うんじゅが情けどぅ頼まりる」を発表しましたが、これは瀬良垣苗子による歌唱で大ヒットを記録し、定男の名を広めることになりました。その後、1974年からは琉球フェスティバルに参加し、沖縄音楽の新しい潮流を作り出す重要な役割を果たしました。

彼の本土デビューは1978年のアルバム「赤花」で、収録曲「バイバイ沖縄」は話題となりましたが、従来の民謡とは異なるスタイルだったため、さまざまな意見が寄せられることになりました。また、映画「太陽の子 てだのふあ」にも出演し、音楽だけでなく演技にも挑戦しました。

プロデューサーとしての活動

1990年、定男は沖縄の女性歌手グループ「初代ネーネーズ」をプロデュースし、これが全国的な話題を呼びました。続いて、鳩間島で注目された民謡少女、鳩間可奈子をデビューさせるなど、若手音楽家の支援にも力を注ぎました。1995年以降は第2期琉球フェスティバルのプロデューサーを務め、沖縄音楽のブームを牽引する存在となったのです。

2000年には安室奈美恵の楽曲「NEVER END」で三線の演奏を行い、民謡の魅力を広めていきました。2009年には「島唄百景」と題した6枚組のCDを録音し、その後も様々なメディアで沖縄の伝統音楽の普及に努めました。

引退と復帰

2012年、彼は声の不調を理由に引退を表明しましたが、父の生誕100年記念公演などの影響を受けて、2015年には歌手活動の再開を決意しました。彼の音楽活動は、沖縄の民謡にとどまらず、さまざまなジャンルに跨る幅広い表現を探求しています。

一族と影響

定男の一族も音楽や文化に深く関与しています。父の知名定繁が民謡の大家として名を馳せ、弟の知名定照は箏（琉琴）の演奏者、知名定寛は宗教史の専門家である神戸女子大学の教授です。また、定男の次男も唄者として活動を続けています。

主なアルバムと著書

定男は多くのアルバムをリリースしており、特に「赤花」（1978年）や「島唄百景」（2009年）などは入手しやすい作品として知られています。また近年は『うたまーい 昭和沖縄歌謡を語る』（2006年）という著書も発表しています。

このように、知名定男は沖縄の音楽界において重要な存在であり、彼の作品や活動は多くの人々に影響を与え続けています。

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