知花朝章

知花朝章について

知花朝章（1847年7月9日 - 1929年5月18日）は、琉球王国時代から大正にかけての沖縄県で、唐手家、実業家、政治家として多岐にわたる分野で活躍しました。

生い立ちと家系

1847年、知花朝章は首里当蔵町で誕生しました。知花家は、尚質王の第五王子である東風平王子朝春を始祖とする勝連御殿から分かれた首里士族の名家で、琉球王国時代には知花殿内と呼ばれていました。小林流空手の開祖である知花朝信は、彼の甥にあたります。

琉球王国での役職

1866年、知花朝章は書院小姓として出仕し、同年の寅の御冠船では冊封使に御冠船踊りを披露しました。1868年には下庫理当、1873年には砂糖奉行に任じられ、1875年には系図座の中取に就任しました。同年8月には上京し、学問に励んだ後、1877年に帰郷。御用内係、田地奉行を兼任しました。1879年2月、吟味役を最後に廃藩によって役目を終えました。

廃藩後の活動

廃藩後、知花朝章は中国に渡り、浦添朝忠らと共に福州で琉球救国運動の中心的な役割を担いました。その後、尚家家扶や会社社長を経て、1908年4月には初の民選首里区長に選出されました。妻は摩文仁按司朝位の姉カマドです。摩文仁御殿は東風平王子朝春の長兄である大里王子朝亮を始祖とし、その下に摩文仁親雲上、夏氏摩文仁家があり、さらにその下に脇地頭がいるという体制でした。夏氏摩文仁家には、糸東流空手の開祖である摩文仁賢和が名を連ねています。

唐手家としての活動

知花朝章は、唐手家としても知られており、松村宗棍に師事しました。1914年、首里区長であった知花朝章は、首里小学校の教員であった遠山寛賢に知花公相君を伝授しました。

知花公相君について

知花公相君は、遠山寛賢の系統で現在まで保存継承されている、琉球王国時代の貴重な形です。この形は知花殿内に秘伝として伝えられたもので、糸洲安恒が猫足立ちに改変する以前の首里古流のナイファンチ立ちを主体とする立ち方を残しています。その他、独自の連続手刀受け、跳躍からの伏せ技、跳躍の連続技など、他の形には見られない高度な技術が保存されています。

参考資料

琉球戯曲集　伊波普猷（昭和4年）附録「冠船渡来と踊」
沖縄県人事録(1916年)
空手道大宝鑑　[遠山寛賢]
後田多敦『琉球救国運動 : 抗日の思想と行動』出版舎Mugen、2010年
* 首里区長 知花朝章氏（外部リンク）

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