短波帯

短波帯とは

短波帯は、無線通信における電波の周波数帯の一つで、総務省の無線局運用規則によって「4,000kHzから26,175kHzまでの周波数帯」と定義されています。無線工学の分野では、一般的に3MHzから30MHzの周波数を短波（HF）と呼びますが、この短波帯は、その大部分を占めています。

短波帯の通信特性

短波帯の最も重要な特徴は、電離層での反射を利用した通信が主体である点です。電離層とは、地球の上空にある電波を反射する層で、この性質を利用することで、地球の裏側のような遠隔地との通信が可能になります。電波は電離層と地表の間を何度も反射しながら伝播していくため、少ない電力でも遠くまで電波を届けることができます。

しかし、短波帯の通信は、混信や雑音が多く、送受信できる情報量も限られています。そのため、回線品質はあまり良いとは言えません。しかし、通信設備さえあれば、衛星通信や海底ケーブルが整備される以前は、数千キロメートルにも及ぶ遠距離通信を可能にする唯一の手段として、大陸間通信に広く利用されていました。

短波帯の利用

現在では、衛星通信網の普及により、船舶や航空機の長距離通信は衛星回線に移行しつつあります。しかし、航行安全のための地球規模の短波通信網は、今なお重要な役割を果たしています。また、BCL（海外放送受信）やアマチュア無線などの分野では、個人が直接利用できる遠距離通信の手段として、短波帯は依然として活用されています。

これらの利用状況から、電波行政上の区分として短波帯が設けられています。

短波帯と他の周波数帯との関係

短波帯は、周波数帯域によって他の区分との関連性があります。

中短波帯: 3MHzから4,000kHzの周波数帯では、中波と同様に大地に沿って伝播する地表波が主な伝播形式となります。そのため、この周波数帯は中短波帯として分類されています。

超短波: 短波帯の上限である26,175kHzを超える周波数帯では、電離層での反射を利用しない通信が主流となるため、短波帯には含まれていません。この周波数帯は超短波と呼ばれています。

このように、短波帯は、電波の周波数帯による特性の違いによって、様々な利用形態が生まれています。

関連項目

電波
電波の周波数による分類

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