石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの

『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』

清武英利のノンフィクション小説『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』は、2017年に講談社から出版され、警視庁捜査二課が実際に行った捜査を基にした物語です。2001年に発生した「外務省機密費流用事件」を中心に描かれ、2018年には大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞を受賞しました。また、2019年には文庫化され、多くの読者に親しまれています。この作品は、汚職問題に迫るストーリーと実名での人物描写が特徴です。

執筆背景

著者の清武英利は、事件発生当時に社会部の記者として出入りしていた経験を持ち、警視庁の捜査二課や四課との接点を持ちながら取材を行っていました。作品は、その時の取材内容や実際の裏話を基に構成されています。本書に登場するほとんどの人物は実名が使用され、リアルな捜査の様子を伝えています。

物語の概要

物語は、警視庁捜査二課に所属する木崎睦人刑事を中心に展開します。捜査二課には、贈収賄などの汚職を専門に扱う部門「ナンバー」と、汚職情報を集める「情報係」が存在します。木崎が勤務する情報係は、様々な汚職に関する情報を収集し、その信憑性を調査の上でナンバーに案件を引き渡す役割を担っています。

物語の始まりは、政治家の溝口恭輔からの情報提供を受けた木崎が、外務省の職員による横領疑惑を耳にするところから始まります。調査の結果、真瀬和則という若手職員が巨額の資産を保有し、贅沢な暮らしをしていることが判明。木崎は公金を利用している可能性を考え、本格的な捜査に乗り出すことになります。

しかし、捜査はやがて難航し、外務省の上層部もこの事件に対して隠蔽を図ります。木崎は自らの手で真瀬を追及することを決意し、独自の調査を進める中で、意外な事実を掴むことになります。

テレビドラマの化

この物語は、2017年11月にWOWOWによってテレビドラマ化され、「石つぶて 〜外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち〜」というタイトルで放送されました。主演には佐藤浩市が起用され、全8話構成の作品として高い評価を受けました。ドラマ制作には、実際の捜査に関与した元警察官が監修として参加し、リアリティを追求した点も注目です。

反響と評価

テレビドラマ化が行われたことで、『石つぶて』という作品は多くの人々に知られることとなり、東京ドラマアウォード2018では優秀賞を受賞しました。また、放送終了後のDVD化も進められ、シリーズはさらなる人気を博しています。ドラマの中では、実際の九州・沖縄サミットの映像も使用され、事実に基づいたリアルな体験を視聴者にも届けています。

この作品は、ノンフィクションながらドラマティックな展開を見せる汚職捜査の記録であり、読者や視聴者に強い印象を残しています。警察の捜査と政治の影響を描くことで、視聴者に考えさせられる内容となっているのです。

総じて、『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』は、韓国実際の事件を舞台にしており、犯罪捜査のリアリティを体験させてくれる貴重な作品として、多くの人に影響を与え続けています。

もう一度検索