石井利枝

石井利枝（いしい りえ）

1947年7月23日、京都府に生まれ、プロボウリング選手として長きにわたり活躍。日本プロボウリング協会（JPBA）の女子プロライセンス第1期生であり、ライセンス番号3番を持つ草分け的存在です。プレイスタイルは左投げで、日本女子プロボウリング界において、最初の左投げ選手としてその名を刻みました。身長は168cm、血液型はA型。プロとして最高位にあたる永久A級ライセンスを保持し、現在もジャパンレディースボウリングクラブの会長を務めるなど、女子ボウリングの普及・発展に貢献しています。

異色の経歴からボウリング界へ

幼少期より日本舞踊やクラシックバレエといった古典芸術に親しみ、中学卒業後は宝塚音楽学校に進学するという異色の経歴を持っています。卒業後は宝塚歌劇団に約2年間在籍しましたが、声楽科の先輩に誘われて訪れたボウリング場で、その競技の魅力に開眼します。点数として明確に結果が現れるボウリングのゲーム性に強く惹かれ、「自分の性に合っている」と感じた石井は、プロボウラーを目指すことを決意しました。

女子プロ黎明期を牽引「花のトリオ」の一員に

プロ転向を決めた後、1969年6月に開催された日本初の女子プロテストに挑戦。須田開代子、中山律子両選手に続いて3番目の成績で見事合格を果たし、プロ資格を取得しました。当時の所属は森永エンゼルボウル。特に、同じ1期生である須田、中山両選手と共に「花のトリオ」と呼ばれ、高度経済成長期の日本に訪れたボウリングブームを牽引する存在として、メディアにも頻繁に登場し、絶大な人気を集めました。

競技実績と功績

プロ通算17勝という確かな実績を残しています。また、プロボウラーなら誰もが目標とするパーフェクトゲーム（300点）には、あと一歩届かず299点を記録した経験があり、その際の最終フレームに臨む心境を「怖い」と率直に語ったエピソードは、多くのファンの記憶に残っています。長年にわたり第一線で活躍し、2006年4月までは奈良県橿原市にあったダイワボウルで支配人も兼務していましたが、同ボウリング場の閉鎖に伴い、現在はフリーの立場となっています。2012年時点では、なお現役選手としてトーナメントに出場するなど、その情熱は衰えを知りませんでした。プロボウリング界への多大な貢献が認められ、2017年には日本プロボウリング殿堂入りを果たし、その栄誉が称えられています。

現在の活動と人物像

現在は、ジャパンレディースボウリングクラブの会長として、後進の育成や女子ボウリングの普及活動に尽力しています。座右の銘は「一意専心（いちいせんしん）」。これは、一つのことに心を集中して打ち込む、という意味であり、まさに石井利枝選手のボウリング人生を表す言葉と言えるでしょう。テレビ番組にも数多く出演し、その存在を広く知らしめました。代表的なものにドラマ「美しきチャレンジャー」や「さぼてんとマシュマロ」（本人役）、ボウリング番組「ストライク・ボウリング」「パーフェクト・ボウリング」「巨泉のチャレンジボウル」などがあります。また、ボウリングの技術指導に関する著書も多数執筆しており、プレイヤーとしてだけでなく、指導者としても女子ボウリングの発展に貢献しています。

石井利枝は、日本女子プロボウリング界の黎明期から現在に至るまで、選手、指導者、そして普及活動家として、多角的にその発展に貢献し続けている、まさにリビングレジェンドです。

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