石井正敏

石井 正敏（いしい まさとし）

生涯と教育背景

石井正敏は1947年2月8日に神奈川県横浜市に生まれ、2015年7月6日に亡くなりました。法政大学文学部史学科を1969年に卒業後、中央大学大学院で国史学を専攻し、1975年には博士課程単位を取得しました。彼の指導教員には丸山忠綱や森克己がいます。2002年には國學院大學から博士（歴史学）の称号を授与されました。

石井は中央大学での教鞭を取る傍ら、東京大学史料編纂所で助手を務めるなど、幅広い教育活動を展開しました。彼は2009年から中央大学の人文科学研究所の所長を務め、その業績により、2015年には名誉教授の称号を受けました。彼の学問は、日本古代史や対外関係史、特に日渤海関係の研究に焦点を当てていました。

研究業績

石井は第1期日韓歴史共同研究において「5世紀の日韓関係-倭の五王と高句麗・百済-」を発表し、初めて新たな視点から歴史的事象を分析しました。特に遣唐使の停止に関する研究では、従来の見解を覆す詳細な検証を行い、菅原道真の建議が実際には遣唐使計画の停止の要因であり、道真が大使に任命される前の設定であったことを解明しました。

また、渤海王から日本に贈られた国書の分析を通じて、その自称が日本の要求に応じたものであることを示しました。これは赤羽目匡由の評価にも見られるように、彼の研究が新たな視座を提供したことを象徴しています。753年の唐の朝賀の儀式において、大伴古麻呂が抗議した事件については、石井が唐の史書をもとに実在の証拠を突き止め、その研究に新たな情報を付加しました。

評価と影響

石井の著書『日本渤海関係史の研究』は、戦後の日本における渤海研究の重要な位置を占めます。多くの研究者が彼の研究を基礎とし、その影響は国内外において広範囲にわたります。特に浜田久美子は彼を、科学的な渤海歴史研究のパイオニアと述べています。彼の緻密な史料分析は、後の研究者たちに大きな影響を与え、多くの議論を生み出しました。

また、石井の方法論は、史料の一字一句に焦点を当て、丁寧に読み解く姿勢を通じて、従来の先入観を払拭するものでした。これは後の歴史学における重要な指針となり、堅実な実証主義は、今後の歴史研究における貴重な指標となるでしょう。

石井正敏の業績は、歴史学界において重要な足跡を残し、彼の研究成果は今もなお多くの研究者に参照され続けています。彼が築いた研究基盤は、古代日本と渤海の関係を理解する上で欠かせないものです。

著作

石井の著書には、単著として『日本渤海関係史の研究』や『東アジア世界と古代の日本』、NHKによる歴史番組に関連した書籍も含まれています。彼は数多くの共編著にも携わり、詳細な史料批判が求められる研究に対し常に高いレベルの成果を上げてきました。彼の学問の多彩さとともに、精緻な考察と実証性が特徴的であり、その業績は今後も受け継がれることが期待されています。

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