石井照久

石井照久（いしい てるひさ）

日本の法学者、石井照久（1906年11月23日 - 1973年7月16日）は、商法を専門とし、法学博士（東京大学・1962年）を取得した著名な研究者です。彼は東京大学名誉教授であり、成蹊大学で学長も務めました。石井は田中耕太郎に師事し、数多くの優秀な弟子を育て上げたことで知られています。

来歴と家族背景

佐賀県小城市の出身である彼の家系は、佐賀藩の重臣に関わる伝統ある家柄であり、歴史的にも重要な役割を果たしてきました。父親は台湾総督府法務部の部長を務めた石井為吉で、兄には陸軍中佐の石井悟一がいました。

法学界への影響

石井照久は戦後にGHQの占領行政下の法制審議会商法部会の委員として、アメリカの会社法を基にした商法改正を推進しました。司法試験の考査委員としてもその名を馳せ、労働法分野でも多くの業績を残しています。中央労働委員会の第6代会長としても活躍し、労働法に関するさまざまな知見を提供しました。

学問的業績

石井の著作には、『海商法』『商法総則』『労働法総論』『会社法』など多くのテーマが含まれています。商法に関する重要な体系的著作である「商法Ⅰ～Ⅶ」は彼の死後、弟子の鴻常夫によって補訂され、学問の継承が図られました。

彼の弟子たちには、商法では鴻常夫や谷川久、労働法では保原喜志夫や花見忠らが名を連ねており、石井の影響力は学界において広く及んでいます。また、ノンフィクション作家の関岡英之は、彼の外孫にあたります。

学歴と経歴

石井は1924年に東京府立第一中学校を卒業し、続いて第一高等学校を1928年に卒業しました。東京帝国大学法学部を1931年に卒業し、その後は同大学の法学部研究室で田中耕太郎の指導を受けました。1933年には助教授に昇進し、1944年には教授に就任。1961年には法学部長に任命され、1962年に法学博士の学位を得るに至ります。

1967年に東京大学を定年退官後、名誉教授となり、その後成蹊大学法学部の教授及び同大学の学長に就任しました。彼は1973年に在職中に逝去し、従三位勲一等瑞宝章を受章しました。

著作物

石井照久の出版した著書は、商法や労働法に関する重要な資料とされています。各種分野の著作を通じて、彼は日本の法学界に多大な影響を与えました。また、彼が手掛けた著作のいくつかは、生前に行った研究の成果であり、現在でも法学教育において重要な教材とされています。さらに、石井の蔵書は1974年に国立国会図書館に寄贈され、彼の業績や知識が後世に伝わるようになっています。

石井照久の生涯は、商法と労働法の発展に貢献しただけでなく、多くの後進の育成にも寄与したことが、彼の真の功績と言えるでしょう。そして、彼が残した学問的遺産は、今後も日本の法学教育において重要な役割を果たすことでしょう。

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