石井良一

石井良一：多才な実業家、政治家、郷土史研究家

石井良一（1869年10月30日 - 1950年7月8日）は、日本の実業家、政治家、そして郷土史研究家として多岐にわたる分野で活躍しました。福岡県若松市長を務めたことでも知られています。旧姓は山崎。

生い立ちと鉄道事業への貢献

肥前国杵島郡武雄村下西山（現在の佐賀県武雄市）で、山崎又七の三男として生まれました。1884年6月に武雄中学校を卒業後、九州鉄道に入社し、鉄道業界でのキャリアをスタートさせます。1887年11月には、石井宗直の婿養子となり、石井姓に改めました。

九州鉄道では、福岡、博多、小倉、門司の各駅長を歴任し、その後、門司運輸事務所長や本社調査係長などの要職を歴任しました。1907年7月には、鉄道国有化に伴い帝国鉄道庁参事に就任。鉄道事業の発展に大きく貢献しました。

大阪市での活躍と若松市長への転身

1910年9月、石井は植村俊平大阪市長に迎えられ、大阪市主事となります。さらに、大阪市電気鉄道部長も務め、大阪市の都市発展にも貢献しました。1914年から1922年までは、福岡県若松市長として市政を担い、地域社会の発展に尽力しました。

実業家としての活動

若松市長在任中には、株式会社蓬莱銀行を設立し、自ら頭取に就任。その他、蓬莱商事社長、留萠鉄道専務取締役など、多くの企業の経営にも携わりました。幅広い事業展開を通じて、地域経済の活性化に貢献しました。

郷土史研究への情熱

石井は実業家、政治家としての活動に加え、郷土史研究にも深い情熱を注ぎました。佐賀県史跡名勝天然記念物調査委員や佐賀県中央公民館専門委員などを歴任し、郷土の歴史や文化の研究、文献資料の整理保存に尽力しました。特に『武雄史』の編纂に力を注ぎ、原稿として残されていたその研究は、孫の石井義彦（武雄市長）によって佐賀県立図書館に寄贈され、1956年に出版されました。

著作と参考文献

石井良一の主な著作として、『武雄史』（石井義彦、1956年）が挙げられます。また、山口良吾との共著に『武雄名勝』（杵島郡教育会、1926年）があります。

彼の生涯や業績に関する参考文献としては、『佐賀県大百科事典』（佐賀新聞社、1983年）、『武雄市史』下巻（武雄市史編纂委員会編、武雄市、1973年）、『人事興信録』第4版（人事興信所編、1915年）などが挙げられます。

石井良一は、その多岐にわたる才能と情熱によって、地域社会の発展と文化の継承に大きく貢献した人物として、後世に語り継がれています。

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