石原俊

石原俊：日産[[自動車]]を牽引したカリスマ経営者とその波乱の生涯

石原俊（1912年-2003年）は、20世紀後半における日本の自動車産業、ひいては財界全体に多大な影響を与えた実業家である。日産[[自動車]]社長、日本[[自動車工業会]]会長、経済同友会代表幹事といった要職を歴任し、その功績と批判は現在もなお議論の的となっている。

日産[[自動車]]での活躍と「グローバル10」戦略

東北帝国大学法文学部卒業後、日産[[自動車]]に入社した石原は、経理財務畑を歩み、着実にキャリアを積んだ。1957年には輸出部門に異動するものの、後に米国日産[[自動車]]を設立、日本の輸出台数1位を達成するなど、その手腕を見せつけた。1977年には日産社長に就任。ここで発表されたのが、世界シェア10％を目指す野心的な経営方針「グローバル10」である。

この戦略は、積極的な海外進出、現地生産、資本提携などを含み、日産のグローバル化を加速させた。スペインのモトール・イベリカへの資本参加、フォルクスワーゲンとの提携生産、イギリスでの工場建設など、その活動は多岐にわたる。しかし、この急拡大路線は、社内、特に労働組合との激しい対立を招いた。

当時、日産労働組合は大きな影響力を持っていた。石原は「グローバル10」戦略を進める中で、労働組合委員長である塩路一郎氏と対立。社内抗争は激化し、石原は経営陣の主導権を掌握、最終的に塩路氏を全ての役職から解任するまでに至った。この労使対立は、日産の企業文化に大きな影響を与え、現在もなお議論の的となっている。

「グローバル10」戦略は、短期的には成功を収めたものの、バブル崩壊後の経営危機の一因ともなった。積極的な海外進出は多くの赤字を生み出し、ダットサンブランドの廃止も日産の低迷を招いたと評されている。結果として、1990年代後半にはルノー傘下に入るという事態に至った。

財界活動と政界への影響力

日産社長在任中には、経済同友会代表幹事を務め、会員の増加、政策提言機能の強化に尽力した。財界のみならず政界にも大きな影響力を持っていた石原は、政府批判を繰り返すこともあった。

また、企業研究会会長、ワールドカップ招致委員会会長なども務め、多方面で活躍した。サッカーへの貢献も大きく、日本リーグ初期からチームを支援し、Jリーグ創設にも関与している。

評価

石原俊への評価は、現在もなお分かれている。日産内部では、その功績よりも「グローバル10」戦略による経営危機への批判が大きく、公式サイトにもその名前はほとんど登場しない。一方、経済同友会においては、その活動活性化への貢献は高く評価されている。

石原俊は、成功と失敗、賛辞と批判を両極端に背負った、複雑で魅力的な実業家であったと言えるだろう。彼の功績は、日本の自動車産業のグローバル化に大きな足跡を残した一方、その手法やその後の経営状況に批判も多い。彼の生涯は、現代の企業経営における成功と失敗、そして労使関係の複雑さを示す、重要な事例として記憶されている。

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