石原憲治

石原 憲治（いしはら けんじ）

石原 憲治は、1895年（明治28年）2月28日に生まれ、1984年（昭和59年）7月11日に89歳で亡くなった、日本の著名な都市計画学者、都市計画家、そして建築家です。工学博士号を持ち、多岐にわたる分野で顕著な足跡を残しました。

彼は日本都市計画学会の第五代会長を務めるなど、学術的な貢献も大きい一方、日本の都市美運動が始まった1920年代には、その推進者として重要な役割を果たしました。また、一般的に都市計画や建築の専門家として知られますが、日本の民家建築や農民建築の研究においては、まさに先駆者（パイオニア）としての地位を確立しています。

教育者としても、旧東京都立大学の工学部建築工学科で教授を務め、特に1952年には建設工学科で初めて都市計画の講義を開設するなど、後進の育成に尽力しました。建築家としては、旧東京市の建築技師として実務に携わり、退職後は自身の石原建築設計事務所を主宰。当時の革新的な建築家たちが集まる新興建築家連盟の主力メンバーとしても名を連ねています。

個人の信条としてはキリスト教徒であり、基督教世界平和同盟や愛隣会に所属するなど、平和活動や社会福祉にも関心を寄せました。

経歴

石原憲治は、1895年2月、兵庫県にて生を受けました。1919年（大正8年）に東京帝国大学工学部建築学科を卒業後、大学院に進学し、ここで後のライフワークの一つとなる農民建築研究を開始します。

同時に、大阪市都市計画部の嘱託として、都市計画の実務と学術研究の両面に深く関わることとなりました。大学院修了後の1922年には東京市に採用され、帝都復興事業における都市計画の推進や、さまざまな都市施設の設計に携わりました。この東京市勤務時代には、日本新興建築家聯盟や都市美協会といった当時の活発な文化・社会活動にも積極的に参加しています。意外な一面として、東京市山岳部にも所属していた記録があります。

研究者としての活動も継続し、特に農民建築研究は深められ、1943年（昭和18年）には東京帝国大学から工学博士の学位を授与されました。

戦時体制下では、1941年に住宅営団に移籍し、その後1944年には当時のバンドン工業大学へと赴任します。

第二次世界大戦後、1949年には新設された東京都立大学の建築学科教授として迎え入れられます。翌1950年には日本民俗建築会を創立し、戦前から取り組んでいた農民建築研究を組織的な活動へと発展させました。学術活動の傍ら、平和運動にも力を注ぎ続けます。

1960年に都立大学を退職した後は、社会福祉活動であるセツルメント運動に献身しました。

生涯を通じて、都市計画、建築、そして日本の風土に根差した農民建築の研究、さらには社会活動と多岐にわたる分野で活躍し、1984年7月に89歳でその生涯を終えました。

業績の概観

石原憲治の業績は多岐にわたりますが、特に以下の点が挙げられます。

都市計画: 日本都市計画学会会長として学術をリードする一方、東京市での実務経験を通じて帝都復興などの現実的な課題に取り組みました。
都市美運動: 1920年代の都市美運動における中心人物として、美しい都市景観の創造を目指しました。
農民建築研究: 日本の農民建築を科学的に研究した先駆者として、この分野の基礎を築き、日本民俗建築会の設立を通じて研究の発展に寄与しました。
教育: 都立大学での都市計画教育の導入など、後進の育成にも重要な役割を果たしました。

著書

日本農民建築 (聚楽社 1934-1943 第1輯～ 第16輯)
温室 . 葬祭施設 . 屠場・畜舎 . 塵芥処理場（共著含む） (常磐書房 1934 高等建築學, 24 . 建築計畫; 12)
都市計画 (新光社 1933)
建築計畫 (常磐書房 1933-1935 高等建築學, 18-24)
都市建築造型理論への考察 (洪洋社 1929)
現代都市の計畫 (洪洋社 1924)
* 全軆の回復 : 文明に贈る (厚生閣 1924)

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