石塚睦

石塚睦（いしつか むつみ）の生涯と業績

石塚睦は1930年1月5日に生まれ、2018年6月9日に他界した日本の天文学者です。主にペルーにおいて天文学の普及と研究に従事し、国立リマ工科大学及び国立イカ大学の名誉教授としてその業績を深く残しました。

学術的な背景

石塚は1951年にサンマルコス大学の天文学教授であるラファエル・ダビラからの招待を受け、同大学の創立記念400周年を記念した天文台の建設に関与することになりました。このプロジェクトは、地元の上田穣（京都大学教授）の提案に基づくもので、アンデス山脈のティクリオ山に観測所を設置する計画がありました。

全国から250万円の募金を集め、上田教授の退職金200万円もその資金に充てられることが決まりました。石塚は当時、京都大学の大学院生であり、太陽のコロナを観測するための装置を設置することが期待され、1957年にはペルーに渡航しました。

事業の変更と成功

しかし、調査の結果、サンマルコス大学が財政的に困難であることが判明し、コロナ観測所の新たな候補地としてペルー地球物理学研究所のワンカイヨ観測所が選ばれました。石塚はここにおいて簡易な光学機器での観測を開始し、22年の歳月をかけて1979年にコスモス太陽コロナ観測所を完成させました。そして1988年から本格的な観測を始めることになります。

危機に直面

しかし、1988年8月、ペルーの反政府テロ組織によって観測所が占拠され、彼は命の危険に晒されることとなりました。テロリストから赤外線観測装置の供出を強要されるも、彼はこれを拒否。その結果、観測所は同年10月に爆破されることになります。この件を巡り、政府側からは同機器を供出したのではないかと疑いをかけられ、探偵局に監視される苦しい状況が続きました。

それでも石塚は、潜伏しつつ観測活動を続け、ペルーにおける天文学の発展に尽力しました。ペルー国立プラネタリウムや国立イカ大学の太陽観測所、ワンカイヨ宇宙電波観測所、さらにはイカ教育天文台の設立に深く関与しました。

家族と継承

彼の次男、ホセ・イシツカも天文学者として活動し、父と共にペルーの天文学を普及させるため努力しました。親子で日本とペルーの科学研究の架け橋となり、日本からの支援も受けて次世代への知識の伝承を果たしています。

記念と評価

石塚の業績は多くの人々に影響を与え、1994年には北海道のアマチュア天文家から小惑星No.7842が彼の名前にちなんで名付けられました。また、2008年にはペルー地球物理学研究所に「石塚睦国立プラネタリウム」が設立され、彼の名が後世に残ることとなりました。

天文学貢献の評価は、1983年に外務大臣表彰、1999年にはペルー共和国国会からの表彰、さらに2009年には瑞宝小綬章を受賞することで顕著になりました。

結論

石塚睦は、ペルーにおける天文学の発展と普及に大いに貢献し、多くの人々から尊敬される存在となっています。その業績や精神は、今もなお多くの天文学者や研究者たちに受け継がれているのです。

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