石山貝塚

石山貝塚：縄文時代の息吹を伝える貝塚

石山貝塚は、滋賀県大津市石山寺の石光山石山寺山門付近に位置する縄文時代の貝塚です。大津市の指定史跡として、その歴史的価値が保護されています。

概要

石山貝塚は、石山寺東大門から南へ約50メートルの場所にあります。貝層は東西約30メートル、南北約80メートルに広がり、最も厚い部分では約2メートルにも達します。淡水産の貝塚としては、日本国内で最大級の規模を誇ります。

1940年（昭和15年）に発見されて以降、1959年（昭和34年）までに計6回の発掘調査が実施されました。現在では、石山観光協会や大津市埋蔵文化財調査センターなどに貝層の断面が保存公開されています。また、大津市歴史博物館では、出土した遺物の一部が展示されており、縄文時代の生活に触れることができます。石山貝塚の付近には、蛍谷貝塚をはじめとする複数の貝塚が点在しています。

出土品

貝塚からは、石器や縄文土器などの日用品が多数発掘されています。中でも、この地で出土する土器は「石山式土器」と呼ばれ、縄文時代の年代を特定する上で重要な指標となっています。その他、狩猟や漁撈に使われた石鏃や石錘など、当時の人々の生活道具も発見されています。

装身具としては、ヤカドツノガイ製の貝小玉やベンケイガイ製の貝輪などが出土しています。また、イシダイやカツオの骨が発見されたことから、当時の人々が海浜部との交流を持っていたことが示唆されています。関東・東海・北陸地方でも同様の土器が出土していることから、広範囲にわたる人々の交流があったと考えられます。

貝殻以外にも、食料の残滓が豊富に存在することから、貝塚周辺地域が居住に適した環境であったことが伺えます。貝類としては、セタシジミが全体の8割弱を占めており、その他にはコイなどの魚類、スッポンなどの爬虫類、シカ、イノシシ、タヌキなどの哺乳類の骨も発見されています。集石炉の痕跡や、貝小玉・貝輪を伴って埋葬された人骨も見つかっており、当時の人々の生活や文化を知る上で貴重な資料となっています。

縄文時代早期以降の遺物はほとんど確認されていません。詳しい理由は不明ですが、瀬田川の流れの変化によって食料の確保が困難になり、居住地としての魅力が薄れた可能性があります。

交通アクセス

石山貝塚へは、京阪石山坂本線の石山寺駅から徒歩約15分でアクセスできます。

石山貝塚は、縄文時代の生活を知る上で非常に重要な遺跡です。出土品や貝層の断面などを通して、当時の人々の暮らしや自然環境について思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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