石川久智

石川久智（いしかわ ひさとも）

石川久智は、戦国時代の備中国（現在の岡山県）で活躍した武将であり、幸山城を居城とした国人です。備中国の有力氏族である石川氏の一員として、激動の時代を生き抜きました。

石川氏の出自

備中石川氏は、元々備中国守護を務めた細川氏（総州家）のもとで守護代を務めていました。また、備中国一宮である吉備津神社の社務代職も兼務する有力な存在でした。しかし、戦国時代に入り、細川氏が衰退すると、一時伊予国へ逃れることになります。その後、石川源三ら一族の支えにより、石川幸久が幸山城を拠点として勢力を回復し、窪屋・都宇・賀陽郡南部を勢力下におさめました。

石川久智の生涯

尼子氏の侵攻と石川氏

天文8年（1539年）、出雲国の尼子晴久が備中国に侵攻すると、石川氏を含む多くの備中国人が尼子氏に帰順しました。しかし、天文9年（1540年）に吉田郡山城の戦いが始まると、尼子軍が撤退。庄為資が再び勢力を盛り返し、尼子氏に帰順していた石川家久父子を討ち取ったことで、石川氏の惣領家は一時途絶えました。その後は、忍山城の石川久忠や立石城の石川久智らが、備中国南東部で勢力を保ちました。

毛利氏傘下の国人として

天文20年（1551年）に大寧寺の変が起こると、備中国では尼子氏に味方する庄為資と、大内氏に留まる三村家親・細川通董が対立しました。毛利元就は、備中国が尼子氏の影響下に入ることを危惧し、庄為資の本拠地である猿懸城に攻め寄せましたが、敗北を喫しました。その後、忍山城の石川久忠は毛利氏と敵対しましたが、弘治2年（1556年）に毛利氏の家臣である杉原盛重によって滅ぼされました。一方、立石城の石川久智は毛利氏との関係を深め、備中石川氏の惣領家を継承して幸山城に移りました。

永禄2年（1559年）に毛利氏が備中松山城を攻略し、庄為資が降伏すると、三村家親が毛利氏の傘下として備中国の大半を掌握しました。石川久智は、三村家親の娘と嫡男・久式を婚姻させることで、三村氏との連携を強化し、備中国南東部の支配を確立しました。

浦上氏・宇喜多氏との戦いと最期

永禄6年（1563年）、備前国の浦上宗景が毛利氏から離反すると、庄氏の残党が蜂起して石川領に侵攻しました。石川久智は、家臣の活躍によりこれを撃退しましたが、毛利氏と浦上氏・宇喜多氏との間で、石川氏は最前線に立たされることになります。

永禄7年（1564年）、浦上宗景は宇喜多直家に命じて龍口城を攻撃させました。石川久智は、配下の薬師寺氏や禰屋与七郎を龍口城に入城させ、宇喜多軍を撃退することに成功します。その後も龍口城を巡って宇喜多氏との間で争いが続きましたが、永禄9年（1566年）に三村家親が宇喜多直家に暗殺され、石川氏配下の生石治家が宇喜多氏に寝返るなど、戦況は悪化の一途をたどります。

永禄10年（1567年）、宇喜多直家は龍口城を包囲しました。石川久智は、救援のために出陣し、妙善寺で宇喜多勢と戦いましたが、敗北し、中島加賀守、禰屋七郎兵衛らと共に討ち死にしました（明善寺合戦）。

まとめ

石川久智は、戦国時代の備中国において、激しい勢力争いの中で生き抜いた武将です。尼子氏、毛利氏、宇喜多氏といった有力大名の間で、巧みな外交と軍事力によって勢力を維持しました。しかし、最終的には宇喜多氏との戦いで討ち死にし、その生涯を終えました。石川久智の生涯は、戦国時代の国人領主の置かれた厳しい状況を物語っています。

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