石川博樹

石川博樹（いしかわ ひろき）

石川博樹氏は、1973年5月に生まれた日本の歴史学者です。専門分野は、東アフリカに位置する国家、エチオピアの歴史、特に中近世のエチオピア史、中でもソロモン朝の研究を深く掘り下げています。現在は、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所において准教授のポストに就き、教育研究活動に精力的に取り組んでいます。

学歴

氏の学問への探求は、東京大学で始まりました。1997年3月には、東京大学文学部東洋史学科を卒業し、歴史学研究の基礎をしっかりと固めました。さらなる専門性の追求のため、同大学大学院人文社会系研究科アジア文化研究専攻へと進学。1999年3月には修士課程を修了し、高度な研究手法と知識を習得しました。その後も大学院に残り、博士課程で研究を続け、2004年3月に単位を取得して退学。博士論文の完成を目指しつつ、研究活動を継続しました。そして、長年の研究成果が実を結び、2007年9月には博士（文学）の学位を取得しています。

職歴

石川氏の研究者としてのキャリアは、大学院博士課程在籍中の1999年4月に、日本学術振興会の特別研究員（DC1）としてスタートしました。研究に専念できる環境を得て、この時期に博士論文のテーマに関する集中的な研究を行いました。博士課程単位取得後の2004年4月からも、引き続き日本学術振興会特別研究員（PD）として、ポストドクターの研究者としての道を歩みました。この間、大学での教育にも関心を持ち、2005年4月からは東京女学館大学にて非常勤講師を務め、教壇に立つ経験を積みました。

その後、2008年4月には東京大学文学部東洋史学研究室の副手として、研究室の運営や教育・研究のサポート業務に携わりました。そして、2009年4月には、エチオピア史研究の第一線である東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所に助教として着任。自らの専門分野であるエチオピア史の研究と教育に本格的に取り組むことになりました。2013年4月には、同研究所の准教授に昇任し、現在に至るまで、多くの学生や若手研究者を指導しながら、自らの研究テーマをさらに深化させています。

著書と研究

石川氏の研究の大きな柱は、エチオピア史におけるソロモン朝の後期、特に16世紀以降の歴史です。この時代は、オロモ人の進出がエチオピア社会に大きな変革をもたらした時期であり、従来の歴史理解では十分に解明されていなかった側面に光を当てています。氏の研究は、当時のエチオピア王国の政治、社会、文化がどのように変化し、その中でソロモン朝がどのように存続あるいは変容していったのかを詳細に分析しています。

これらの研究成果は、2009年に山川出版社から刊行された主要な著書『ソロモン朝エチオピア王国の興亡―オロモ進出後の王国史の再検討』として結実しています。この著作は、ソロモン朝エチオピア史における従来の通説を見直し、新たな視点から歴史像を描き出す重要な貢献として、国内外の関連分野の研究者から高い評価を受けています。

現在も、石川博樹氏は東京外国語大学を拠点に、エチオピアという多様で複雑な歴史を持つ地域に関する研究を続けています。アフリカ史研究、特に東アフリカの地域史研究において、その専門知識と分析力をもって、重要な役割を果たしています。

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