石川多聞

石川 多聞（いしかわ たもん）

1943年5月11日に生まれ、2023年10月23日にその生涯を閉じた石川多聞氏は、日本の政治家として活動しました。茨城県東茨城郡城里町（かつての常北町）の出身で、自由民主党に所属し、長年にわたり茨城県議会議員を務めました。政治家の家庭に育ち、父である石川稲實氏も茨城県議会議員や常北町長を務めた人物です。

地元の中学校を卒業後、上京して日本大学豊山高等学校に進学。その後、日本大学法学部で学びました。大学を卒業して社会に出ると、当時の内閣総理大臣であった佐藤榮作氏の秘書として活動しました。また、佐藤総裁が主宰した日本会・日本総調和連盟の機関紙『総調和』では編集長を務め、文筆の面でも才能を発揮しました。

故郷に戻った後、政治の道に進み、まず常北町議会議員として3期にわたり地域の発展に貢献しました。その後、活躍の場を県政に移し、茨城県議会議員に自民党から選出され、実に7期もの長きにわたって県民の代表として務め上げました。県議時代には、各常任委員会の委員長や、議会の最高責任者である茨城県議会議長といった要職を歴任しました。また、所属政党である自由民主党茨城県支部連合会においても、政務調査会長、総務会長、そして会派「いばらき自民党」の議員会長を務めるなど、党務においても重要な役割を果たしました。

2014年8月には、長年務めた茨城県議会議員を辞職し、当時の阿久津藤男城里町長の辞職に伴う町長選挙に立候補しました。しかし、この選挙では対立候補であった上遠野修氏に及ばず、当選には至りませんでした。

政治活動に加えて、石川氏は多岐にわたる分野で社会貢献活動を行いました。社団法人茨城県林業協会の会長として林業振興に尽力し、いばらき水と緑と土のネットワーク代表や茨城県議会林業・林産業活性化議員連盟事務局長、茨城の森林を守る県民会議事務局長としても、茨城の自然環境保全に貢献しました。また、(財)日本釣り振興会茨城県支部長や茨城インディアカ協会会長としてスポーツ振興にも関わりました。さらに、茨城県信用組合農林水産部顧問、(社)農山漁村資源開発協会理事といった経済・産業分野、茨城大学での非常勤講師や日本文教研究会事務局次長、(社)宗教センター事務局次長、日本青年文化会議代表といった文化・教育・宗教分野、さらには（社）茨城県建築士事務所協会顧問、茨城ディスプレイ協同組合顧問といった建築・デザイン関連の団体でも役職を務めるなど、その活動は非常に広範でした。

国際交流にも深い関心を持ち、アジアを中心とした海外との連携強化に努めました。NPO法人モンゴル緑化日本協会の会長を務めたほか、(社)日華協会理事、(社)日本・タジキスタン友好協会理事、(社)バングラデシュ友好協会理事、茨城県日韓親善協会の常任副会長、茨城空港サポーターズ顧問なども務めました。特にモンゴル国との交流促進に対する長年の貢献が認められ、2008年にはモンゴル国から外国人に贈られる勲章としては最高位とされる北極星勲章を授与されています。また、北朝鮮による日本人拉致問題の解決にも積極的に取り組み、茨城県議会議員や水戸市議会議員らが結成した「拉致問題を考える茨城県地方議員連絡会」では座長を務め、被害者の救出に向けた運動を牽引しました。

これらの功績が認められ、2015年秋の叙勲において旭日中綬章を受章しました。

2023年10月23日、胃がんのため水戸市内の病院で逝去しました。享年80歳でした。

政治家としてだけでなく、多方面にわたる社会貢献活動や国際交流においても顕著な実績を残した人物として記憶されています。

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