石川康

石川康のサッカー人生

石川康（いしかわ こう）は1970年3月10日、生まれ故郷のボリビア・サンタ・クルス県で育ちました。父母は沖縄からボリビアに移民してきたため、彼は沖縄系の背景を持つ選手です。幼少期は貧しい家庭環境で育ち、電気や水道のない生活を送りながら、兄とともに卵を売りに出かける日々を送っていました。しかし、母親がスーパーマーケットを開業したことで、少しずつ生活が安定していきます。

サッカーへの情熱を抱いていた石川は、10歳でサッカー選手養成学校で練習を始めます。そこでは後にボリビア代表となるマルコ・エチェベリやエルウィン・サンチェスとともに学び、1984年から1985年には主力メンバーとしてゴシアカップ連覇に貢献しました。さらに、1985年には中国のU-16世界選手権に出場しましたが、未勝利でグループステージで敗退しました。

1988年、石川は日本へ留学することになります。彼は日本語がほとんど話せない状態で埼玉県の武南高校に編入し、サッカー部で活躍しました。高校卒業後はボリビアに戻るつもりでしたが、日本のサッカー界での可能性を感じ、本田技研工業サッカー部に入部することを決意しました。最初は社員としての勤務だったため、オートバイの組み立て作業を行う一方で、サッカーの練習に励みました。

1991年から1992年にかけて、バルセロナ五輪代表に選出され、リベロとして中心的な役割を果たしました。さらに、1993年には日本代表デビューを飾りますが、その後もAマッチ出場は果たせず、その国籍取得に関する問題が影を落としました。1992年には読売クラブ（現在の東京ヴェルディ）に移籍し、Jリーグ初期において右サイドバックとして活躍し、数多くのタイトル獲得に貢献します。

名古屋グランパスでは、「康」から「巧」へと名前を変えて活躍し、2002年に現役を引退しました。引退後は、スポーツマネージメント業務を行う会社を設立し、サッカー解説者としてのキャリアも築きました。また、名古屋グランパスエイトでテクニカルスタッフとしても活動し、FC琉球のゼネラルマネージャーを歴任しました。

サッカー選手としてのキャリアを通じて、石川康はボリビア州から日本へと渡り、国際的な舞台での経験を積んできました。自身のプレースタイルは、子供の頃からリベロとしてのプライドを持ち続けつつ、サイドバックとしての堅実なプレーでも評価されています。彼の道のりは、文化や言語の壁を越えたアスリートの苦悩と成功の物語です。

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