石川明 (陸軍軍人)

石川明（いしかわ とおる）は、大日本帝国陸軍の軍人です。1945年8月時点で大佐の階級にあり、歩兵第216連隊長を務めていました。

陸軍士官学校を卒業後、石川は近衛部隊に配属されました。その後、大阪へと配置換えとなります。平時の訓練中、乗馬中に近くで迫撃砲が発射されるという事故に遭遇しました。驚いた馬が倒れ、その下敷きになった石川は背中を負傷し、約1年間台湾（台北）で療養生活を送ることになります。この間、温泉療養も行っていたようです。

太平洋戦争中、石川は常寧城の攻撃に参加しました。また、朝雲新聞社の戦史にも、彼の武勇伝が掲載されています。ある時、別の部隊がゲリラによって峡谷で挟み撃ちにされ、全滅の危機に瀕していました。そこへ石川は、20数名ほどの騎馬部隊を率いて駆けつけます。彼は、その騎馬部隊を広く高速に動き回らせ、あたかも多数の援軍が到着したかのように見せかけました。これにより、峡谷の一方を塞いでいたゲリラは撤退し、約200名弱の部隊は全滅の危機を脱することができたのです。この功績に対し、石川は軍から畳一畳ほどの和紙に金箔を貼った感謝状を贈られました。

戦後、石川は故郷の広島に戻りました。彼は、かつての部隊の仲間たちから、恩給制度の維持とインフレに対応した増額を求める陳情活動を依頼されます。そのため、亡くなる前年頃まで、予算編成期には頻繁に上京し、厚生省に対して陳情を行っていました。石川は1969年にその生涯を閉じました。

石川明は、軍人として卓越した能力を発揮し、戦場では部隊を救い、戦後は恩給制度の維持に尽力した人物でした。彼の行動は、多くの人々に勇気と希望を与えたことでしょう。

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