石州瓦

石州瓦（せきしゅうがわら）について

石州瓦は、島根県の石見地方で製造される伝統的な粘土瓦です。この瓦は、日本三大瓦の一つとして三州[[瓦]]や淡路[[瓦]]と並び、多くの地域で愛されています。特に、江津市の都野津地区を中心に、大田市、浜田市、益田市などでも生産が行われています。

特徴と生産

石州瓦は、高い焼成温度（約1200℃以上）で焼かれるため、寒冷地において非常に耐久性が高く、凍害にも強いのが特徴です。この特性から、雪が多く降る日本海側や北海道などの寒冷地域での需要が高まっています。現在、年間約2億枚が生産されており、釉薬瓦において全国の約20％のシェアを占めています。

しかし、最近では良質な原土の減少が課題となっていて、生産組合の数も2つに減少しています。地域の特色を反映したこの瓦は、独特の赤褐色が特徴で、山陰地方では赤い屋根の町並みや集落を見ることができます。この赤褐色の理由は、同じ島根県内の出雲地方で掘り出される含鉄土石「来待石」が釉薬に用いられているためです。

歴史

石州瓦の制作は古くから続いており、百済からの帰化人の影響を受けていると考えられています。伝説によると、石見国の国分寺建設にも石州瓦が使用されたという話があります。また、1600年頃には釉薬を使用しない赤色瓦が焼かれ、室町時代から江戸時代にかけては浜田城や津和野城などの建築が影響し、生産が本格化したとされています。その伝統は2007年4月、島根県で初めて地域団体商標として認定されたことで更に強化されました。

応用と今後の展望

石州瓦は、その美しさだけでなく、地域の文化や歴史を象徴する重要な建材です。伝統的な建築様式や現代の建築物でもその美しい色合いを取り入れることで、地域性を表現しています。今後は、良質な原土の確保や持続可能な生産方法の開発が求められる中で、石州瓦のブランド価値を維持・向上させるための努力が必要となるでしょう。

地域の生産者や工業組合が協力し、伝統を守りながら新しい技術やデザインを取り入れていくことが、今後の石州瓦産業の発展につながると期待されます。

もう一度検索