津和野城

津和野城の概要

津和野城は、島根県鹿足郡津和野町に位置し、霊亀山の標高367メートルに築かれた中世の山城です。日本では有名な三本松城（または一本松城）としても知られ、江戸時代には津和野藩の亀井氏が居城としました。城跡は現在、国の史跡に指定されています。

江戸時代、津和野藩は急峻な山城を避け、藩庁を山麓に移したため、津和野城自体は一部利用されながらも廃城へと向かいました。明治時代に入ると城は解体されましたが、山上にはその痕跡として石垣や堀が数多く残っています。特に馬場先櫓や物見櫓は、城の歴史を感じさせる重要な遺構です。城の敷地内には、鷲原八幡宮や太皷谷稲成神社が加わった中国自然歩道が整備され、観光客は美しい自然の中を歩きながら城にアクセスできます。

歴史

津和野城の歴史は鎌倉時代にさかのぼります。元寇直後の1282年、吉見頼行がこの地に赴任し、翌1295年には霊亀山の南側から三本松城の築城が始まりました。その後、城は吉見氏の居城として発展し、14代にわたってこの地を治めました。

戦国時代には、吉見氏は大内氏に属し、その後は毛利氏に仕えましたが、関ヶ原の戦い後には津和野から引き揚げることとなりました。その後、坂崎直盛が入城し、城の大改修を行いますが、坂崎氏も元和2年（1616年）には改易となります。ここに亀井政矩が入城し、津和野藩の基盤を築きました。亀井氏は城下町の整備や居館の設置を行い、以後の津和野城はここから発展していきました。

近現代の情況

明治4年（1871年）に津和野藩は廃藩となり、城もその運命を辿りました。城は商人によって払い下げられ、城の構造物は解体されますが、昭和に入ると国の史跡に指定され、保存整備が進められました。特に、登山道や遊歩道の整備が行われ、観光リフトが開通し、多くの観光客を迎え入れることになりました。また、近年では桜の名所としても知られ、観光地としての魅力が高まっています。

構造と遺構

津和野城は険しい地形に依存して築かれた城塞で、吉見氏時代には土塁と空堀による防御が施されていました。戦いの激化を受け、堀や防塁が追加され、三本松城の戦いの時期には特に防備が強化されました。

本城の位置する山頂には近世城郭の要素が加わり、石垣や二層の天守が築かれました。特に三十間台からは津和野町を一望することが可能で、周囲の景観も楽しめます。城の体制も堀や曲輪を巧みに配置し、侵入者への対策が施されていました。

特に興味深い遺構として、馬場先櫓と物見櫓があります。馬場先櫓は藩邸の表門近くにあり、19世紀中頃に再建されたものです。一方、物見櫓は移築され、現在では観光スポットの一つとして訪れることができます。

アクセス

津和野城へのアクセスは、JR西日本の山口線津和野駅から徒歩で約40分、観光リフトを利用すれば5分で山上にアクセスできます。リフトの乗り場には無料駐車場が整備されており、観覧客にとって便利な交通アクセスが整っています。

このように、津和野城は歴史的価値や美しい自然景観の中にある貴重な観光地であり、訪れた人々に深い感動を与え続けています。

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