石戸蒲ザクラ

石戸蒲ザクラ：悠久の時を生きるカバザクラの古木

埼玉県北本市石戸宿の東光寺境内にそびえ立つ石戸蒲ザクラは、カバザクラの古木として知られています。その歴史と美しさは、国の天然記念物、日本五大桜の一つとして、多くの人々を魅了し続けています。

歴史

1922年（大正11年）10月12日、石戸蒲ザクラは国の天然記念物に指定されました。さらに、埼玉新聞社の「21世紀に残したい・埼玉ふるさと自慢100選」にも選ばれ、その価値は広く認められています。

木の特徴

石戸蒲ザクラは、樹高約12メートル、根回り約7.2メートルという堂々たる姿を誇ります。樹齢は約800年と推定され、その長い年月を生きてきた風格が漂います。「石戸蒲ザクラ」の名前は、源範頼の異名「蒲冠者」に由来すると伝えられています。

カバザクラは、エドヒガンザクラとヤマザクラの自然雑種であり、石戸蒲ザクラは、元来自生していた唯一のカバザクラであるとされています。現在見られる他のカバザクラは、接ぎ木などによって増やされたものです。花は小ぶりで淡いピンク色をしており、4月10日前後が見頃となります。

樹勢の衰退と回復への取り組み

かつては4本あった幹も、昭和40年代に樹勢が衰え、昭和50年代半ばには1本にまで減少してしまいました。しかし、石戸蒲ザクラを救おうと、様々な取り組みが行われてきました。

1973年（昭和48年）には、根回りへの負担を軽減するため、木の根元にあった板石塔婆10基が移転されました。その結果、1977年（昭和52年）には10年ぶりに花を咲かせました。その後も、周辺の環境整備や幹の腐朽部分の除去などが行われました。

2004年からは、根を活性化させるために、液体肥料を土中に噴射する土壌改良が実施されました。この取り組みにより、花の付き具合が改善されるという目覚ましい成果を上げています。また、枝や根が敷地の北側に及んでいたため、2022年（令和4年）10月には、天然記念物指定100年を記念して北側の民有地が取得され、公有地が拡大されました。翌年からは、取得した敷地の整備が開始される予定です。

アクセス

• - 所在地：埼玉県北本市石戸宿3丁目119番地 東光寺境内
• - 公共交通：JR高崎線北本駅西口より、川越観光バス「石戸蒲ザクラ入口」行き終点下車、徒歩約3分
• - 道路：首都圏中央連絡自動車道桶川北本インターチェンジより約1.0km

石戸蒲ザクラは、その美しい姿を通して、私たちに自然の力強さと、それを守り育てる人々の努力を教えてくれます。北本市を訪れた際には、ぜひその雄姿を目に焼き付けてください。

もう一度検索