石澄川

石澄川（いしずみがわ）

石澄川は、大阪府箕面市と池田市の境、主に箕面市域を流れる河川で、近畿地方を代表する大河川である淀川へと続く水系に属しています。具体的には、淀川の支流である猪名川水系に合流する箕面川の、さらに支流にあたるため、淀川から数えて4次支流と位置づけられます。

地理的特徴

この川は、北摂山系の一角をなす六個山の北部山中にその源を発します。水源から下流へと向かう全体としての流路延長は約4.8キロメートルと比較的短いながらも、そのうち約2.8キロメートルが国によって管理される一級河川として指定されています。源流部を出た流れは、途中でゴルフ場の敷地内にあるため池を経由し、渓流状の区間を経て下ります。特にこの上流部には、川の名の由来ともなったとされる美しい「石澄滝」が懸かっており、豊かな自然景観の一部をなしています。

山間部の自然な流れの区間を過ぎ、市街地へと近づく中下流部では、治水や洪水防止を目的として、川岸（河岸）や川底（河床）の大部分がコンクリートで整備されています。しかし、すべての区間が人工構造物で覆われているわけではなく、一部には地域住民が水辺に親しみ、憩えるように配慮された「親水護岸」が設けられており、自然環境の保全と都市機能のバランスが図られています。

石澄川は、流れ下った後、箕面市瀬川二丁目付近の地点で、より大きな河川である箕面川に合流します。箕面川はさらに猪名川を経て淀川へと注ぎ、最終的には大阪湾へと流れ込んでいます。

流域の自然と環境

石澄川の流域には、都市近郊でありながらも、豊かな自然環境の一部が残されています。特に清らかな水質が保たれている区間では、初夏の到来を告げるかのように、美しい光を放ちながら幻想的に飛び交うゲンジボタルの姿を観察することができます。これは、この川が生態系を支える一定の健全性を保っていることの証とも言えます。また、水源に近い山間部から市街地が近いこともあり、時にはニホンイノシシの幼獣が山から下りてきて、人里近くに迷い込むといった事例も見られます。これは、周辺の山林がイノシシの生息地として機能しており、石澄川流域が山と街の境界に位置していることを示唆しています。

流域の自治体と観光

石澄川が流れ、その流域に含まれる主な自治体は、大阪府の箕面市と池田市です。これらの自治体では、川の水を利用したり、川の景観を生かしたまちづくりが行われたりしています。

流域には、自然や景観を楽しむことができるスポットもいくつか存在します。前述の「石澄滝」は、特に有名な観光地の一つであり、多くの人が訪れます。また、川沿いには「石澄川桜並木」が整備されており、春になると見事な桜が咲き誇り、地域住民だけでなく遠方からも花見客が訪れて賑わいを見せます。

主な支流

石澄川には、水源からの本流のほか、いくつかの小さな流れが合流しています。主な支流としては、「堂九本川（どうくほんがわ）」が挙げられます。これらの支流からの水も加わり、石澄川の流量を増やし、下流へと流れていきます。

石澄川は、流路は短いながらも、北摂の山並みに源を発し、滝や緑、そして蛍が見られる自然豊かな上流部から、人々の暮らしに寄り添うように整備された中下流部を経て、箕面川へと合流する、地域の自然、景観、そして人々の生活に深く関わる河川です。

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