北摂山系

北摂山系：京阪神の自然豊かな山地

北摂山系は、兵庫県南東部から大阪府北部、京都府南西部に広がる山地です。丹波高地の南部を含み、北摂山地と呼ばれることもあります。標高800メートル以下の山々が連なり、北東部から南西部にかけてなだらかな丘陵地帯となり、大阪平野へと続きます。東西約50キロメートル、南北約30キロメートルに及ぶ広大な山塊で、淀川水系、加古川水系、武庫川水系の河川が流れ、豊かな自然環境を育んでいます。

地理的特徴

北摂山系の北東端は亀岡盆地南縁、北西端は篠山盆地南縁、西端は三田盆地東縁、東端は京都盆地西縁に位置します。南端には五月山、六個山、箕面山、鉢伏山などの山々が大阪平野の北限を形成しています。

地質は丹波群層の砂岩、泥岩、砂岩泥岩互層、そして花崗岩が混在しており、土壌の大部分は森林褐色土です。西に位置する六甲山地と共に、大阪平野の北限を形成する重要な山系となっています。

主な河川としては、一級河川の猪名川、箕面川、安威川、芥川、小畑川、桂川（いずれも淀川水系）、篠山川（加古川水系）、二級河川の羽束川（武庫川水系）などがあります。これらの河川は、北摂山系を流れ、豊かな水資源を提供しています。

植生

北摂山系全域は暖帯林に属します。スギ、ヒノキ、サワラなどの植林やクリなどの果樹園も見られますが、多くの地域はモチツツジ-アカマツ群集、ヤブムラサキ-コナラ群集といった二次林で覆われています。一部にはモミ-シキミ群集やシイ-カナメモチ群集、そして箕面川沿いの国定公園内にはケヤキ-イロハモミジ群集も見られます。

主要な山、渓谷、峠

北摂山系には、五月山、六個山、箕面山、鉢伏山など数多くの山々が存在します。また、保津峡、摂津峡、竜仙峡、川久保渓谷、初谷渓谷、水無瀬渓谷、箕面渓谷、武田尾渓谷など、景観に優れた渓谷も多く点在しています。さらに、老ノ坂峠、はらがたわ峠、天王峠、天引峠など、多くの峠道が山間部を縫うように走っています。これらの峠道は、古くから交通路として利用されてきました。

人との関わり

北摂山系は、西の六甲山系、東の生駒山系・金剛山地とともに、京阪神地区の都市部から比較的近い距離に位置しています。そのため、京阪神地域の住民にとって身近な存在であり、ハイキングや登山、自然観察など、レクリエーションの場として親しまれています。大阪府立北摂自然公園など、自然保護のための取り組みも行われています。

参考文献

大阪地域森林計画書　大阪府　平成20年
第6回・第7回　自然環境保全基礎調査　植生調査情報提供ホームページ　環境省　自然環境局

まとめ

北摂山系は、多様な地形と豊かな自然に恵まれた山地です。地質、植生、河川、峠など、地理的特徴が複雑に絡み合い、独特の景観を作り出しています。京阪神地域の住民にとって身近な存在であるとともに、貴重な自然資源を有する地域として、今後もその保全と活用が重要です。

もう一度検索