石炭政策転換闘争

石炭政策転換闘争

1960年代、日本のエネルギー政策が大きく変化し、特に石炭から石油への移行が進む中で、「石炭政策転換闘争」が展開されました。この運動は主に日本炭鉱労働組合（炭労）によって推進され、政府方針に反対する労働闘争として知られています。

具体的には、1960年頃、日本の炭鉱業界は三井三池争議などの労働争議に揺れていました。この時期、日本の産業界は国内産石炭よりも安価な外国産石油への依存度を高める方向に進んでおり、政府もそれを受けてエネルギー政策の中心を石油に移す動きを見せていました。これは、炭鉱労働者やその関連地域にとって、非常に厳しい状況を生むことが懸念されていました。

そのため、炭労は1961年8月の大会で政府の方針に対して強い反対意見を表明し、彼らの主張は社会党や労働組合総評議会の支援を受けて一層強化されました。具体的な要求内容としては、炭鉱労働者の雇用安定、石炭の生産と流通の近代化、炭鉱地域の振興、そして石炭を含む総合的なエネルギー政策の確立などが挙げられました。これにより、労働者は彼らの生活と労働条件を守るために、政府に対して強い圧力をかける必要があると認識しました。

同年の9月には、北海道や九州地方からの炭鉱労働者を中心に、約30,000人が集まり「3万人中央行動」が東京で開催されました。この運動では、大蔵省や通商産業省など、関連する政府機関に対する陳情が行われ、さらに炭鉱労働者がキャップランプを身につけたまま銀座でデモを行うなど、多彩な活動が展開されました。これにより、全国的な規模での労働者の団結が示され、政府に対する訴えが広く知られることとなりました。

この闘争の結果として、炭鉱労働者の失業問題に対してより積極的な政策が実施されました。特に、雇用促進事業団の設立や炭鉱離職者求職手帳（通称「黒手帳」）の導入が行われ、これにより失業者の支援が強化されました。労働闘争そのものは直接的な成果をあげるには至らなかったものの、全国的な運動としての影響力が広がり、炭鉱労働者の権利向上への道を開くことになりました。彼らの意見発信は、今後の労働政策においても重大な意味を持ち続けることとなります。

この石炭政策転換闘争は、日本の労働運動の歴史において重要な転換点となり、以後の労働者の権利問題やエネルギー政策の議論にも大きな影響を及ぼすこととなりました。

もう一度検索