石狩データセンター

石狩データセンター

石狩データセンターは、さくらインターネットが2011年11月15日に北海道石狩市で稼働を開始した大規模データセンターです。ソーシャルゲームの急速な普及によるサーバー需要の逼迫を背景に、広大な土地と冷涼な気候を活かした設計が特徴です。

概要

石狩データセンターの敷地面積は東京ドームとほぼ同じ約5万1000平方メートル。さくらインターネット社長の田中氏は、この広大な敷地を活かし、「いくらでもすぐにサーバーを増設できる」ことをメリットとしています。データセンターはモジュール構造を採用しており、需要に応じて柔軟に拡張できる設計となっています。当初は自社利用を想定していましたが、東日本大震災以降はBCP（事業継続計画）対策としてのDR（ディザスタリカバリ）需要が高まり、コロケーション（サーバー設置場所の貸し出し）利用が増加しています。

1号棟の建設は着工からわずか7ヶ月で完了。2015年10月時点で1号棟と2号棟が稼働しており、同年10月には3号棟の建設に着工、2016年冬に竣工しました。3号棟の最大収容ラック数は1900ラックで、1号棟と2号棟を合わせると最大3000ラックになります。

コロケーション利用の課題

DR需要の高まりからコロケーション利用が増加した結果、一部のサーバー室はさくらインターネットの社員ですら立ち入れない状況となっています。また、本来PUE（電力使用効率）値は1.11であるはずが、コロケーションで貸し出しているサーバー室ではPUEが1.53に悪化しています。これは、小規模な投資を前提としたモジュール構造が、コロケーションの急増によってスケールメリットを活かせなくなっているためです。そのため、さくらインターネットは今後コロケーションを極力使わない方向で検討しています。

環境への配慮

石狩データセンターでは、環境負荷低減にも積極的に取り組んでいます。2015年8月には「さくらインターネット石狩太陽光発電所」を建設し、太陽光発電による電力を直流のままデータセンターに送電しています。2021年6月からは電力会社を液化天然ガス火力発電を主体とする会社に変更し、環境性に優れた電力供給を実現しています。

地域貢献

石狩データセンターは、地域社会との連携も重視しています。2014年からは、石狩市で開催されるライジング・サン・ロックフェスティバル会場内で無料の公衆無線LANサービスを提供しています。ライブ会場とデータセンターが比較的近いことから、両者を無線LANブリッジで接続し、安定したネットワーク環境を提供しています。

石狩市を選んだ理由

さくらインターネットが石狩市にデータセンターを建設した理由は以下の通りです。

広大な土地が確保できる
冷涼な気候
地震・津波・液状化などの災害リスクが低い
人口の多い札幌市に近く、人材を確保しやすい
石狩市が企業誘致に積極的である
石狩市に海底ケーブルの陸揚局がある

特に、冷涼な気候はデータセンターの冷却効率を高める上で重要な要素であり、石狩データセンターでは年間を通じて外気冷却が可能です。これにより、一般的な都市型データセンターと比較して、消費電力を4割削減しています。

北海道胆振東部地震の影響

2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、石狩データセンターも被災し、北海道電力からの電力供給が停止しました。しかし、非常用発電設備が稼働し、備蓄燃料の追加手配などにより、約60時間にわたる電力供給を維持しました。地震による従業員の人的被害はなく、データセンターの機能も維持されました。

まとめ

石狩データセンターは、広大な敷地、冷涼な気候、災害リスクの低さといった地理的な利点を活かし、省エネと拡張性を両立したデータセンターです。DR需要への対応や地域貢献にも積極的に取り組んでおり、社会インフラとしての役割を果たしています。

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