石田一良

石田一良：日本の歴史学者とその功績

石田一良（1913年-2006年）は、日本の歴史学者であり、その業績は日本思想史研究に多大な影響を与えました。東北大学名誉教授、杭州大学名誉教授、日本思想史学会名誉会長などの肩書きからも、その学界における地位の高さが伺えます。

京都市出身の石田は、京都帝国大学法学部に入学後、文学部史学科へ転じ、後に大学院に進学。西田直二郎教授に師事し、歴史学、特に日本思想史研究の道を歩み始めました。

1946年、同志社大学文学部助教授に就任。わずか34歳で教授に昇進すると、文化史学専攻の設置に尽力し、同大学における文化史学研究の基礎を築きました。1951年には、自ら『文化史学の理論と方法』を刊行、日本の文化史研究に大きな指針を与えました。

1958年、東北大学文学部教授に着任。同大学を日本思想史研究の中心地とするべく、精力的に活動しました。在職中は、日本思想史研究会を組織し、日本思想史学会の設立にも尽力しています。1958年には、「生活と思想－－文化史学における思想史研究の課題と方法・試論」を発表。これは新カント派とマルクスの唯物史観を統合した画期的な思想史方法論として、戦後日本の思想史研究に大きな影響を与えました。

東北大学在職中、石田は大学院生を指導し、多くの後進を育成しました。その中には、同志社大学名誉教授の笠井昌昭氏や東北大学教授の佐藤弘夫氏といった著名な歴史学者も含まれています。

石田は、単なる教育者としてだけでなく、学会活動にも積極的に参加しました。1950年には文化史学会を設立し、機関誌『文化史学』を発刊。さらに、日本思想史懇話会を結成し、『季刊日本思想史』を創刊するなど、日本の歴史学研究の発展に多大な貢献をしました。

石田一良の研究は、「文化史学」の構築に集約されます。恩師である西田直二郎の学問を土台に、独自の視点と方法論を確立し、多くの研究成果を発表しました。1962年には、「近世文化の研究」で京都大学から文学博士の学位を授与されています。

また、彼は歌舞伎評論家としても知られており、多様な才能を有する人物でした。

石田一良の生涯は、日本の歴史学、とりわけ日本思想史研究の発展に大きく貢献した、一人の学者の物語です。彼の研究方法論、学会活動、そして後進育成への取り組みは、現在も多くの研究者たちに影響を与え続けています。彼の功績は、日本の歴史学史において、高く評価されるべきものと言えるでしょう。

もう一度検索