石田徹也

石田徹也（1973年6月16日 - 2005年5月23日）は、日本の画家です。静岡県焼津市出身で、4人兄弟の末っ子として生まれました。父親は元焼津市議会議員であり、兄弟はそれぞれ建築士、銀行員、服飾デザイナーという異なる分野で活躍しています。


幼少期から美術への関心が高かったものの、高校は親の意向で普通高校に進学。その後、武蔵野美術大学に進み、視覚伝達デザイン学科を卒業しました。大学時代には、映画監督の平林勇と共同で作品を制作するなど、多様な表現活動に触れていました。就職活動ではデザイン会社に不採用となったことを機に、画家としての道を歩み始めます。


石田の作風は、蒸気機関車やビニール袋、便器といった日常的な物と一体化した青年を描くことで知られています。その青年は多くの場合、石田自身に似た容貌で描かれていますが、本人はこれを否定しています。初期の作品では、社会に対するメッセージ性が強く感じられましたが、後期になるにつれて、より抽象的な作風へと変化していきました。この変化には、観る人が自由に感じてほしいという石田の意図が込められています。


2005年5月、踏切事故により31歳という若さでこの世を去りました。しかし、彼の作品は死後、国際的な評価が高まり、2006年には香港のオークションで、2012年にはアメリカのオークションで高額で落札されるなど、世界的に注目を集めるようになりました。また、2009年にはその功績が認められ、紺綬褒章が遺族に授与されています。


2019年には、スペイン・マドリードの国立美術館で個展が開催され、31万人を超える入場者を集めるなど、その人気は衰えることを知りません。日本国内でも数多くの展覧会が開催され、多くの人々に感動を与え続けています。


代表的な作品には、第6回グラフィックアート『ひとつぼ展』グランプリを受賞した「みのむしの睡眠」や「SLになった人」、その他にも「飛べなくなった人」「健康器具」「回収」「捜索」「前線」などがあります。これらの作品は、社会の中で生きる人間の孤独や不安、抑圧といったテーマを、独特の視点と表現で描き出しています。


また、石田の作品は、数多くの書籍の装丁にも採用されており、大槻ケンヂや星野智幸、マキシマム ザ ホルモンといった様々なアーティストの作品を彩りました。さらに、中学校や高校の教科書にも掲載されるなど、幅広い世代に影響を与えています。


石田徹也は、その短い生涯の中で、多くの人々の心に深く刻まれる作品を残しました。彼の作品は、今もなお、私たちに現代社会の在り方や、人間としての生き方を問いかけ続けています。


主な展覧会としては、「悲しみのキャンバス展」（静岡県立美術館）、「－僕たちの自画像展」（練馬区立美術館）、「ヨコハマトリエンナーレ2011」（横浜美術館）、ベネチアビエンナーレ（セントラルパビリオン）などが挙げられます。


石田の作品を見た亀倉雄策は「何を食べたらこんな絵が描けるんだ？」と感想を述べたとされています。また、石田は生前、無口でプレゼンテーションも得意ではなかったため、作品の力だけで勝負していたといいます。経済的には恵まれておらず、常にアルバイトをしながら制作活動を続けていました。両親は石田の作風を理解できなかったものの、その評価を喜んでいました。石田自身は、自分の絵に対する様々な感想を受け止め、様々な捉え方があって良いと考えていたといいます。


彼の遺した書籍には、「石田徹也遺作集」「石田徹也全作品集」「石田徹也ノート」などがあり、作品集や画集の他に、彼の創作ノートも出版されています。また、「悲しみのキャンパス」「飛べなくなった人」など、彼の作品をテーマにしたテレビ番組も放送されています。

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