石神甲子郎

石神甲子郎（いしがみ かしろう）

石神甲子郎は、1900年4月1日に生まれ、1979年10月7日に生涯を閉じた、日本の造園家です。彼は行政官としてもその手腕を発揮し、国立公園の指定や国定公園の制定、そして日本の自然保護に多大な貢献をしました。また、日本山岳会の会員としても活動しました。静岡県出身です。

略歴

石神甲子郎は、1925年3月に東京帝国大学農学部農学科を卒業しました。その後、同年4月からは明治神宮造営局で技手として勤務しました。1935年4月には内務省都市計画地方委員会に造園技師として愛知県に赴任しました。1938年12月には厚生省へ異動し、体力局技師を務めました。

1941年、1943年から1948年までの間、日本造園学会の理事を務めました。1948年から1954年までは厚生省国立公園部計画課長として活躍し、1952年から1959年まで再び日本造園学会の理事に、1959年から1963年まで同会の監事を務めました。

1954年から1971年までの長きにわたり、国立公園審議会自然環境保全審議会の委員として、自然保護政策に深く関わりました。1960年から1978年まで日本自然保護協会の常務理事を務め、日本の自然保護運動を牽引しました。1971年5月には日本造園学会の名誉会員となり、1972年には勲三等瑞宝章を受章しました。

主な著作物

石神甲子郎は、数多くの著作を通じて、自然保護の重要性を訴えました。以下に主な著作を挙げます。

『自然保護運動について』(造園雑誌, 1977年3月号)
『自然保護憲章について』(社会教育, 1977年1月号)
『自然環境といのち』(公衆衛生, 1975年8月号)
『両立しなかった観光開発と自然保護』(農林統計調査, 1971年10月号)
『自然保護の本質』(地理, 1970年4月号)
『破壊されゆく自然の実態』(自由, 1970年7月号)
『歴史的自然公園の指定について』(造園雑誌, 1959年8月号)
『国立公園選定標準について』(造園雑誌, 1957年8月号)
『国立公園25年の変遷史』(国立公園, 1956年7月号)
『府県立自然公園に就て』(造園雑誌, 1954年1月号)
『国立公園施設整備に就ての構想』(国立公園, 1953年4月号)
『国立公園の理論と技術の研究』(国立公園, 1952年8月号)
『自然保存』(公園緑地, 1951年4月号)
『瀬戸内海国立公園の拡張』(国立公園, 1950)
『體錬緑地敷地問題』(造園雑誌, 1943年9月号)
『體錬緑地擴充』(造園雑誌, 1942年12月号)
『明治神宮境域管理』(造園雑誌, 1940年12月号)
『熱田神宮神田整備』(造園雑誌, 1940年3月号)
『名古屋都市計画公園指定の効果』(造園雑誌, 1936年12月号)
『神と杜』(桜井勝之進共著, 1976)
『自然より学ぶ』(1974)

これらの著作を通じて、石神甲子郎は自然保護の理念を広め、多くの人々に影響を与えました。

研究と業績

石神甲子郎の研究は、国立公園の制度設計や自然保護の理念構築に大きく貢献しました。彼の著作や活動は、日本の自然保護運動の基礎を築いたと言えるでしょう。特に、国立公園の選定基準や、観光開発と自然保護の両立という課題に対して、深い洞察を示しました。

また、彼の造園家としての経験は、自然環境を尊重した公園設計や都市計画に活かされ、日本の景観形成にも大きく貢献しました。

まとめ

石神甲子郎は、日本の自然保護に生涯を捧げた人物であり、その功績は今日でも高く評価されています。彼の自然に対する深い愛情と、それを守り抜くという強い意志は、私たちに多くの示唆を与えてくれます。

参考文献

古谷勝則、水内佑輔『伊勢志摩国立公園指定の背景における石神甲子郎と伊勢神宮、明治神宮の関係性について』平成23年度日本造園学会関東支部大会事例・研究報告集Vol.29、日本造園学会関東支部

もう一度検索