石鍋真澄

石鍋真澄氏は、1949年4月8日生まれの日本の西洋美術史学者であり、成城大学で教鞭を執っています。埼玉県出身で、東北大学文学部哲学科を卒業後、同大学院の博士課程を満期退学。その後、フィレンツェ大学に留学し、西洋美術への深い知識と造詣を深めました。1979年に成城短期大学の専任講師としてキャリアをスタートさせ、その後、助教授、教授を経て、現在は成城大学文芸学部教授を務めています。

石鍋氏の研究は、特にイタリア美術、中でもルネサンス美術とバロック美術に焦点を当てています。1989年には『聖母の都市シエナ 中世イタリアの都市国家と美術』でマルコ・ポーロ賞を受賞しており、その研究が高く評価されていることがわかります。また、2006年には「ピエロ・デッラ・フランチェスカ」に関する研究で東北大学から文学博士号を授与されました。この博士論文からも、彼の卓越した研究能力が窺えます。

石鍋氏の著作は、西洋美術史を学ぶ上で非常に重要な文献となっています。例えば、『ベルニーニ バロック美術の巨星』では、バロック美術の巨匠であるベルニーニの生涯と作品を詳細に解説しています。また、『ありがとうジョット イタリア美術への旅』では、ジョットの芸術を通して、イタリア美術の魅力を伝えています。さらに、『フィレンツェの世紀 ルネサンス美術とパトロンの物語』では、ルネサンス期のフィレンツェにおける芸術とパトロンの関係性を深く掘り下げています。これらの著作は、美術史を専門とする研究者だけでなく、一般の読者にも西洋美術の奥深さを伝えています。

その他にも、『サン・ピエトロが立つかぎり 私のローマ案内』や『サン・ピエトロ大聖堂』など、ローマの美術と建築に関する著作も多数あります。これらの著作からは、石鍋氏のローマに対する深い愛情と知識が伝わってきます。『教皇たちのローマ ルネサンスとバロックの美術と社会』では、ルネサンスとバロック期のローマにおける教皇と美術の関係性を考察しています。『カラヴァッジョ ほんとうはどんな画家だったのか』では、バロック期の異端の画家カラヴァッジョの生涯と作品を新たな視点から分析しており、常に新たな研究に挑戦している姿勢が窺えます。

また、翻訳や監修も数多く手掛けており、西洋美術に関する知識を広めることに貢献しています。エンツォ・オルランディ編『ヴァン・ゴッホ』やデズモンド・スアード『カラヴァッジョ 灼熱の生涯』の翻訳は、多くの読者に西洋美術の巨匠たちの魅力を伝えています。また、『ヴァチカン 美術館・市国・サン・ピエトロ大聖堂』や『ルネサンス美術館』などの監修は、一般の読者が西洋美術に触れるための入り口となっています。

石鍋真澄氏は、西洋美術史の研究者としてだけでなく、教育者としても多くの学生を育てています。その深い知識と情熱は、多くの人々に西洋美術の魅力を伝え続けています。彼の著作や研究活動を通して、西洋美術への理解を深めることができるでしょう。

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