石黒圭

石黒圭氏(1969年生まれ)は、日本の言語学・日本語学を代表する研究者の一人です。国立国語研究所教授、総合研究大学院大学教授、そして一橋大学大学院言語社会研究科連携教授の要職を歴任するなど、その高い専門性と影響力は広く認められています。

神奈川県立横浜平沼高等学校を経て北海道大学に在籍した後、一橋大学社会学部を卒業。早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程において、「日本語の文章理解過程における予測の型と機能」に関する研究で博士号(文学)を取得しました。その後、一橋大学留学生センター(現国際教育センター)で専任講師、助教授、准教授を歴任し、2013年には教授に昇進しました。

石黒氏の研究分野は多岐に渡り、文章論、読解研究、作文研究などが中心です。しかし、氏は専門分野にとらわれることなく、日本語に関わるあらゆる事柄に興味を示し、語彙、表現、読解、作文、対話、独話など、コミュニケーション全般を研究対象としています。特に副詞と接続詞を好む一方、形容詞の使用は極力控えるべきだと考えていることでも知られています。

教育者としての顔も持ち、日本国内だけでなく海外向けの日本語教育教材の開発にも携わっています。国立国語研究所では、学習者コーパスの構築にも尽力し、一橋大学大学院と総合研究大学院大学では多くの大学院生を指導。指導した20名以上の博士課程学生は全員が博士号を取得するなど、後進の育成にも大きな成果を上げています。

その功績は高く評価されており、日本語教育学会奨励賞、国立国語研究所所長賞、日本語教育学会学会活動貢献賞、早稲田大学ティーチングアワードなど、数々の賞を受賞しています。また、文部科学省中央教育審議会生涯学習分科会日本語教育部会専門委員、専門日本語教育学会会長、教科書編集委員(光村図書出版『小学校国語』、明治書院『精選 現代の国語』『精選論理国語』)、辞書編集委員(小学館『例解学習国語辞典』)など、多くの要職を歴任しています。

石黒氏は数多くの著書も出版しており、『ていねいな文章大全』『論文・レポートの基本』『文系研究者になる』など、幅広いテーマを扱った著作は、学生や研究者から高い支持を得ています。特に『書きたいことがすらすら書ける！「接続詞」の技術』や『コミュ力は「副詞」で決まる』などは、その専門性を活かした実践的な内容で、多くの読者から好評を得ています。光文社新書からは『段落論』『語彙力を鍛える』『日本語は「空気」が決める』など、日本語に関する様々な視点からの著作を発表し続けています。さらに、中国の出版社から海外向けに日本語学習に関する書籍も出版されており、その活動は日本国内にとどまらず、国際的にも高く評価されています。

このように、石黒圭氏は研究者、教育者として、多方面で活躍し、日本の日本語教育と研究に多大なる貢献を果たしている、まさに第一人者と言えるでしょう。その活動は、今後も日本の言語学界を牽引していくものと期待されます。

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