砂丘 (アルバム)

映画『砂丘』サウンドトラック盤：音楽と映像の融合

ミケランジェロ・アントニオーニ監督による1970年の映画『砂丘』（Zabriskie Point）のサウンドトラック・アルバムは、単なる映画音楽の域を超え、音楽史においても重要な作品として位置づけられています。オリジナル盤には、ピンク・フロイド、グレイトフル・デッド、カレイドスコープなど、当時最先端のロック・アーティストたちの楽曲が収録され、アントニオーニ監督の音楽センスが光ります。

収録アーティストと楽曲

サウンドトラックには、ピンク・フロイドの実験的な楽曲群、グレイトフル・デッドのサイケデリックなサウンド、カレイドスコープの独特な音楽性など、多様な音楽性が凝縮されています。これらの楽曲は、映画の映像と見事に調和し、独特の世界観を創り上げています。

ピンク・フロイドの貢献

ピンク・フロイドは、このサウンドトラックのために複数の楽曲を提供しています。「Come in Number 51, Your Time Is Up」は、シングルB面曲「Careful with That Axe, Eugene」の再録音であり、「Love Scene (Version 4)」はリック・ライトによるソロ・ピアノ作品です。「Country Song」、「Unknown Song」、「Love Scene (Version 6)」など、実験的で独創的な楽曲が収録されています。また、未収録となった「Fingal's Cave」や「Oenone」といった楽曲の存在も、ピンク・フロイドの創作意欲を物語っています。

幻の未発表曲

ピンク・フロイドは、このセッション中に数々の未発表曲を録音していました。中でも注目されるのは、「The Violent Sequence」として知られていた楽曲で、後に『狂気』に収録される「アス・アンド・ゼム」の原型となったものです。これらの未発表スタジオ音源は、2016年にリリースされたボックスセット『The Early Years 1965–1972』で日の目を見ることになりました。

その他のエピソード

ドアーズのジム・モリソンがこの映画のために「L'America」を作曲しましたが、アントニオーニ監督によって使用を拒否されたというエピソードも存在します（「L'America」は後にドアーズのアルバム『L.A.ウーマン』に収録）。また、ローリング・ストーンズの「ユー・ガット・ザ・シルヴァー」は映画で使用されましたが、サウンドトラック・アルバムには収録されていません。

批評家からの評価

「ヴィレッジ・ヴォイス」紙のロバート・クリストガウは、サウンドトラック・アルバムが映画よりも「かなり深く、より一貫したもの」になっていると評価しました。オールミュージックのスティーヴン・マクドナルドは、「奇妙な曲が混ざり合っている」と評しつつも、ピンク・フロイドの録音は「聴く価値がある」と述べています。

まとめ

映画『砂丘』のサウンドトラックは、単なる映画音楽にとどまらず、1970年代の音楽シーンを代表する作品として、今なお多くの音楽ファンに愛されています。ピンク・フロイドをはじめとする豪華アーティストたちの貴重な音源が収録されたこのアルバムは、音楽史における重要な遺産と言えるでしょう。

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