砂原遺跡

砂原遺跡の概要

砂原遺跡は島根県出雲市多伎町砂原に位置し、約12万年前に遡るとされる中期旧石器時代の遺跡です。遺跡から出土した石器群は、日本最古のものであると同志社大学の松藤和人教授によって示唆されています。2009年に行われた発掘調査では、この地域での古代の生活と文化の深い理解が得られました。

発掘の経緯

2009年8月、砂原遺跡で小石片（玉随製剥片）が発見され、この発見をもとに3日間の予備調査が行われました。この調査では、遺跡の地層の確認と火山灰の同定が目的でした。その結果、砂原遺跡の基本的な層序が明らかになり、地表から9つの地層が存在することが確認されました。

予備調査の成果

初日には玉随製剥片の発見場所と土壌の一致が確認され、2日目には石英斑岩製の石核や小さな剥片が次々と発見されました。さらに、松の樹の下で石英の塊が見つかり、敲石（ハンマーストーン）として確認されました。最終日には、地層調査が行われ、玉随剥片が7番目の古土壌層から、石核や敲石が6番目の砂質シルト層から出土しました。

本調査の実施

9月15日からは、本調査が開始されました。この調査では、発掘区域を基に南北7メートル、東西4メートルのトレンチを設け、様々な石器を掘り当てることが目的となりました。固い地層を手彫りで掘り進めながら、注意深く遺物を発見していきました。

珪化流紋岩と旧石器

本調査での発見の中には、流紋岩製の尖頭スクレイパーが含まれており、この石器は他の遺跡と比較しても特徴的です。この流紋岩は周辺地域で見られない種類のものであり、出土時の色が変わる過程も観察されました。

上層から出土した遺物を第Ⅰ文化層、下層からのものを第Ⅱ文化層と名付け、それぞれの石器群がどのように異なるかを分析しました。第Ⅱ文化層から出土した石器には、嘴状石器や削器、彫器様の石器があり、それぞれの石材が多様性を持っていました。

考古学的意義

砂原遺跡は考古学的な観点から非常に重要な場所であり、発見された石器群の分析から人類の歴史を紐解く手がかりが得られる可能性があります。出土した石器の分析は、日本列島における旧石器時代の新たな視点を提供すると同時に、前例のない技術や自然現象による説明が求められる事例となっています。

年代決定の方法

遺跡の年代を決定するためには、地質学的調査と考古学的検討が必要です。地層に含まれる火山灰を用いて年代を特定したり、段丘地形の研究からその成形年代を確認する方法もあります。特に、三瓶木次火山灰の年代が約11万年前と特定されるなど、年代確定方法が進展しています。

このように、砂原遺跡の研究は日本の人類史の理解を深める重要な活動であり、今後の考古学的調査においても注目されることでしょう。

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